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28MHz AMでWA8SAJ局と56/56~59でラグチュー   

2024年 02月 19日

2月3日に、WB8KRY局とQSOして悲願の28MHz AMによるDX QSOを達成し、
https://fujichrome.exblog.jp/33824714/
2月7日にはイリノイ州KA9UVY局とも28MHz AMによるDX QSO に成功した。
https://fujichrome.exblog.jp/33830482/

2月17日の朝は28MHzのノイズレベルが非常に低く、コンディションが良かった。FT8でのカリブハントが不調だったので、28MHz AMにQSYしてCQを出してみた。時間は08:00 JST直前である。
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すると、WB8KRY Joeが早速コールしてくれた。Sは56~59+である。非常に伝播が良く、話の内容もとても良く理解できる。ようやくゆっくりと交信して73を送り合った。

交信終了後、さらにCQを出すと強力なAMがコールしてきた。WA8SAJ局である。名前はJeff。QTHはCleveland, OHということであった。非常に了解度が高いAMである。AM特有のQSBを伴いながらも、話の内容が完璧に聞き取れる。実にスリリングなQSOを10分弱、堪能した。

交信している最中に、コンデジでQSOを録画した。全部で5分以上録画したのだが、そのうちの2分程を切り取ったのが下のリンクである。

https://twitter.com/JYATSUYANAGI/status/1758664412595114418

こちらのレポートは56。Jeffの出力は60Wということであった。録画の中で、「Joeに感謝だよ。Junが出ていると教えてくれてアンテナを調整して聴いてみたら誰も居なかったよ、ハハハハ」と話していたが、まもなくこちらのCQが聞こえたのだろう。813は良い球で、手頃に手に入りパワーと予算の節約にFBだと話しているところで動画は終わる。WB8KRY局はローカルなのか、親しいようである。

完全にラグチューが出来るほどFBな伝播でノイズが少なく、AM特有のQSBを伴いながらアメリカから届く28MHz AMの信号を受信することは最高にエキサイティングであった。

W8SAJのリグはElecraft K4
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アンテナは5エレビーム
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マイクはクリスタルマイクと言っていたが、QRZ.comのページを見るとAstaticのSilver Eagleが2本もある。
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クリスタルマイクを通したAMは非常に了解度が高くてFBであった。AMにはSilver Eagleが最適と言っても過言ではなさそうである。

WA8SAJ局のシャック風景である。
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広大な敷地で整然とした住宅地である。バックトゥーザフューチャーに登場するような住宅地であり、タワーがあがっている。電線もなく、ノイズとは無縁そうなVY FBなロケーションである。WB8KRY局のシャックもKA9UVY局のシャックも、広々としてタワーが建ち、羨ましい程FBなロケーションである。

WA8SAJ局のQRZ.comページには、1965年に6m AMでQRVしている色あせたカラー写真が掲載されている。無線歴60年近い大ベテランだったのである。交信後、メールをやり取りした。以前は無線ショップを経営してCB機や無線機の修理も手掛けていたとのことである。CB機から外したクリスタルフィルターなど、大量の部品を持っているとのことであったが、今は店も閉めてシャックの無線機も整理し、交信を楽しむだけという。QRZ.comに掲載されている文章を読むと、プロとしても無線に関わった経歴があるようである。

ー・・・ー

28MHz AMでWの局とこんなにFBにQSOできるとは全く感無量である。この日の素晴らしいQSOのことをAMfoneにも書き込んだ。

https://amfone.net/Amforum/index.php?topic=48573.0

これまで、東海岸寄りの中西部の局とQSOできた。これは、現地が夕方なのでビームが西海岸に向けられており、JA方向寄りになっているためではないかと思われる。この時間、西海岸局は東海岸方向にビームを向け、JAはバックサイドになっている可能性がある。引き続き、QRVを続けて西海岸の局との交信も実現したい所である。

AJDの完成を目指して始めた28MHz AMだが、遂にDX QSOを実現するところまで来た。病み付きである。Eスポシーズンのみに運用が限定されることなく運用できる時期が広がったこともFBである。サイクル25のピークを挟む今後数年、28MHzはDXバンドとして活況を呈するであろう。










# by FujichromeR100 | 2024-02-19 20:27 | 28Mc AM | Comments(0)

28MHz AMでDX QSO 2 - イリノイ州KA9UVY局とQSO   

2024年 02月 08日

2月3日に、悲願の28MHz AMによるDX QSOをWB8KRY局と達成したところである。

https://fujichrome.exblog.jp/33824714/

2月7日の朝はノイズが非常に少なく、28MHzの状態が良かったので、07:00 JST前から29.010MHzでCQを出した。
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応答がなく、現地でもQRMを懸念して29.030MHzにQSYしてCQを出した。
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すると、早速AMの信号が聞こえた。コールサインをコピーすると、2月3日にこちらのCQを聴いたとメールをくれてアメリカの28MHz AM事情を色々と教えてくれたKA9UVY局であった。

今日はノイズが少なく相手の信号は58 QSB。こちらのレポートは"Five seven QSBaker!"ということであった。

KA9UVY局のQTHであるイリノイ州Dixと秋田の距離は9,986kmである。これも超DX QSOである。
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QRZ.comに掲載されているKA9UVY局のアンテナとシャックである。
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28MHzのアンテナはHex Beamである。広大な敷地に複数のタワーが建っている。ノイズも少なく、FBな環境に見える。羨ましい限りである。前回のメールでAMはキャリア18Wだということであった。そのAMが57で届いたのであるから病み付きである。

KA9UVY局と28MHz AMでQSOした07:10JSTの日照状況である。
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JAがグレイラインから出たばかりで、W9は日照側である。このぐらいの時間から向こうがグレイラインに掛かる8:30頃までがベストタイムだろう。

なお、28MHz AMでWの局とQSOする際、AM特有のQSBの中、ナチュラルスピードで話してくるので聞き取りは最高難度の部類になる。市販リグで変調が浅い場合は難度がさらにあがる。信号がS9+であればラグチューが十分できるような聴こえ方になるのだろうが。

ー・・・ー

28MHz AMでWの局2局と交信できた。WとQSOすることは十分可能で、交信相手も存在することがわかった。夕方に狙うとヨーロッパの局とも交信できるかもしれない。Eスポの季節以外にも28MHz AMでQSOを楽しめることもFBである。

# by FujichromeR100 | 2024-02-08 21:55 | 28Mc AM | Comments(0)

28MHz AMでWB8KRY局とQSOー悲願の28MHz AM DX QSO達成   

2024年 02月 04日

サイクル25が立ち上がり、SSNが増えている。
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無線を始めた1979年、サイクル21当時は21MHzで10WのSSBと下宿の2階の集合煙突を利用して張った逆VでW西海岸の局とたくさん交信できたものである。特に、28MHzはDXにとても良く飛んでいた。

いつも楽しみにしているWU2D MikeのYouTubeで6146を使うプレートスクリーングリッド同時変調の28MHz AM送信機の組み立てシリーズが始まった。Part4ではGのハムと28MHz AMで初QSOするシーンから始まる。
Part1
https://www.youtube.com/watch?v=RqqCMJLccQI&t=36s
Part4
https://www.youtube.com/watch?v=ENL_wfjAJPY&t=435s

周波数は29.010MHzであることに注目した。この周波数にWとGがQRVしているのである。昨年公開された28MHz AMサプレッサーグリッド変調送信機の動画で、Wでは28MHz AMが29.000MHz~29.030MHz辺りに出ていることを見ていたので、アロー電子に14.515MHzのX'talを特注しておいた。
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昨日の朝、FT8が一区切りしたので8:30頃28MHz AMでCQを出してみることにした。周波数は29.010MHzである。
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すると、AMのキャリアが聞こえた。QSBを伴いながらピークではS9になる。が、昨日はいつもの「ジャ~」ノイズのレベルが高く、話の内容がどうしても聞き取れない。何度も繰り返してコールして貰い、遂に相手のコールサインがWB8KRYとコピーできた。こちらのレポートは53、相手のレポートは38とした。

28MHz AMでW西海岸の局とQSOすることが悲願であったが、遂にWの局との交信に成功したのである。非常にエキサイティングであった。

WB8KRY局のQRZ.comページを見ると、QTHはOhio州のMontvilleという街である。かつて、Play Things of Past(アンティックラジオ部品店)があったClevelandの近くである。

秋田からの距離を調べると、約10,000kmであった。
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位置的にはほぼ東海岸である。28MHz AMのQSOとしては、超DXである。

WB8KRY局のQRZ.comページの写真を見ると、LAFAYETTE HA410 10 METERSと記されているトランシーバーの写真が掲載されていた。これをツイートしたところ、JA7KPI OMが日新電子のパナスカイマーク10のOEMかなとコメントを下さった。
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更に、QRZ.comのログを見ると、10mのSSBとAMがQSOの大半を占めてることがわかった。
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本人は大変な10mマニアであり、10m AMマニアだったのである。冒頭のWU2DのPart4動画だけでなく、このログからもヨーロッパでも10m AMのアクティビティーが非常に高いことがわかった。

今日、WB8KRY局が10mAMのQSOをLoTWにアップしてくれた。
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これにより、聴き間違いなどではなく、間違いなくWB8KRY局と28MHz AMでQSOしたことがCFMされたのである。

悲願達成である。

ー・・・ー

今朝も29.010MHz AMでCQDXを連呼した。時間は8:30頃である。
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今朝も「ジャ~」ノイズが出ており、受信状況は良くなかったが、スタンバイするとキャリアーが聞こえた。しかし、どうしてもコールが聞き取れない。RYとだけどうにか聞き取れたので、WB8KRY局かと思いコールバックしたが、その後応答は全くなくなってしまい、QRTすることにした。

引き上げてからメールを開くと、KA9UVY Robert, Dix, IL, USAからEメールが届いていた。読んでみると、「今夜、JH8SST/7でCQを出していたのが29MHzの少し上で聞こえたが西海岸のQRMが酷くて交信はできなかった」というSWLレポートであった。RCA813の50W AMが今度はイリノイ州まで届いていたのである。

KA9UVY, Robertによると「 you were not that strong here and the QRM from West coast AM stations was causing some difficulty... I heard N5YRJ in California trying to answer your CQ also... I tried to ask you to QSY up to 29.050 with me for a try but since I only was running 18 watts carrier you weren't able to hear me.」ということであった。なんと、RYとコピーしたと思ったのはCaliforniaのN5YRJ局だったようである。折角の応答が「ジャ~」ノイズで聞き取れなかったのは残念至極である。また、KA9UVY局もこちらにQSY UPを伝えていたのだが、聞こえなかったのは痛恨の極みである。

KA9UVYはWの28MHz事情についても教えてくれた。それによるとWでは多くの自作リグ、ビンテージリグ、近代リグが28MHz AMのQSOに使われており、「AMウインドウ」(29.000MHzから10kcおきに29.100MHzまで)の下端に集中して出る傾向があるという。28MHz AMの交信は29.000から29.080MHzで行われているということである。 ここにヨーロッパの局も出て来るのであろう。

KA9UVY局のQTHである、イリノイ州DIXの場所である。
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どちらかと言えば東海岸よりである。KA9UYV局はこの地における28MHz AMの入感状況を紹介してくれた。それによると、朝はヨーロッパの局が入感し、午後の早い時間から西海岸が開け、日が暮れてバンドが死ぬ前までには太平洋かそれ以遠、またHIドミニカ共和国辺りが開くとのことである、当局の信号が聞こえたのは夕刻、バンドが死ぬ前の時間だったのだろう。

ー・・・ー

サイクル25のピークも近い現在、28MHzはDXバンドになっている。欧米では29.000MHzから29.100MHzの「AM Window」で盛んに28MHz AMによる国内・DX QSOが行われていることがわかった。JAも是非仲間に入れて欲しいところである。

JARLのバンドプランをみると、「AMウインドウ」は全電波形式となっているので、AMでQRVすることに問題はない。
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29.020MHzのデジピーターの周波数を外せばAMでDX QSOを試みることに問題はないであろう。多くの局にAM DXに挑戦して欲しいものである。

# by FujichromeR100 | 2024-02-04 20:26 | 28Mc AM | Comments(0)

300Bトランス結合アンプ-P&Cエレクトロニクス製インターステージトランスに換装   

2024年 01月 08日

90年代の半ばに組んだUZ6C6ーUY76ーUZ42(3結)PPアンプをばらし、手持ちのタムラトランスF475とA351を使い、300Bトランス結合アンプを組み立てたのが去年の5月の連休であった。
https://fujichrome.exblog.jp/33049133/

金田式No91アンプが音場再現に優れ、ギターであれば弦をつま弾く様子、津軽三味線であれば弦をバチで弾く様子が目に見えるような聴こえ方をするのに対し、組み立てた300Bトランス結合アンプでは音像がぼやけ去り、音が空中にふわっと広がるような聴こえ方をすることが特徴であった。再生音の方向性が全く違うのである。

A351の2次側を開放した状態で1kHzの矩形波を観察すると激しいリンギングがあり、周波数特性も20kHzに3dB以上のピークがあった。このため、A351の2次側を100kΩの抵抗でターミネートしたがリンギングは残り、聴感でも金田式に比べて高域のレベルが高いように感じた。Anita O'dayのブラスがかなりうるさく聞こえる傾向があったが、NFBもないのでこういうものかと思いながら、金田式アンプと取り換えながら時折音楽を楽しんでいた。

新宿区市谷台町にあったP&Cエレクトロニクスは1985年頃から無線と実験にナス管の広告を出し始め、それを見つけてからは1986年頃からナス管を買うために出入りを始めた。1990年代の初頭、そのP&Cエレクトロニクスからオリジナルのインターステージトランスを作ったので買ってくれないかと頼まれ、一肌脱いで買ったことがある。外観はSELのバンド型チョークトランスとそっくりである。1次と2次のインピーダンスも示されず、巻き線比が1:3というだけの仕様であった。店主は「WEのトランスもこんなものである」と言っていた。

このトランスは1個を当時の球仲間だったJH7VMV伊藤氏に進呈したまま、使うこともなく30年程も死蔵し続けていた。

300Bトランス結合アンプを組み立てて聴いているうちに、ふとこのトランスのことを思い出し、どのような音がするのか興味がわいてきた。P&Cとは30年連絡を取っていなかった。検索するとHPがあり、メルアドがわかったのであのトランスが1個無いか問い合わせてみた。

すると、倉庫に1個だけ残っており、5000円で送るというので早速送金した。そして届いたのがこれである。
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錆があるので気に入らなかったら返品受け付ける、という触れ込みであったが、届いてビックリのサビサビである。酷い状態であり、通常は商品価値などないとみなされるであろう。30年ぶりに連絡をしてきた客に対してこういう仕打ちをするところがいかにもP&Cである。当時も通販では酷いものを平気で送って来た。

とはいえ、現物はこれしかないわけである。ピカールで磨いて赤さびを落とし、手持ち品と併せてようやく2個揃った。
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正月休みに、重い腰を上げてようやくA351をこのサビサビインターステージトランスに換装した。
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インターステージトランスの2次側は解放の状態で、オシロにより波高を観察しながらAFオッシレーターの周波数をスイープし、簡易的に周波数特性を確認してみた。
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-3dBとなる周波数帯域は35Hzから10kHzであった。驚いたことに、10kHzから100kHz程迄の間にピークもディップもなく、至って素直に減衰していくFBな特性である。タムラのA351よりもアンプに組み込んだ時の特性がFBである。チョークコイルのような外観からは予想できない程素直な特性である。

このアンプは一体どんな音がするのであろうか。続けざまにCDを聴いてみた。


P&Cエレクトロニクスインターステージトランスを使った300Bアンプの試聴1ーAnita O'day
まずはモノラル録音のAnita O'dayである。タムラA351ではブラスが刺激的に聴こえていたのだが、このアンプでは自然な音になった。Anitaのボーカルも音がふわっと広がり、深みがあり素晴らしい。


P&Cエレクトロニクスインターステージトランスを使った300Bアンプの試聴2ーTony Bennett and Bill Evans Two Lonly People
次はTony Bennett and Bill EvansのTwo Lonly Peopleである。Tony Bennettの口元が目の前に浮き上がる聞こえ方。Evansのピアノも深みのある音で豊饒に鳴り響き、思わず聞き惚れてしまう。


P&Cエレクトロニクスインターステージトランスを使った300Bアンプの試聴3ー津軽三味線
そして津軽三味線による津軽じょんがらである。金田式No91アンプでは津軽三味線の弦が目の前でバチにより弾かれる様が目に見えるような聴こえ方をする。それに対し、このアンプでは眼前の虚空に定位した津軽三味線から音が空中に広がるような聴こえ方である。北東北人の魂を揺さぶる津軽三味線の音色に、思わず落涙しそうになる。


デジカメで録音した音が目の前で聴いた音を十分に表現しきれないことがもどかしい。

金田式No91アンプはカチっと音場再現をして楽器や歌手、ホールの空間の広さまでをも眼前に現出させる。それに対して、このアンプでは眼前の虚空に定位した音源から音がふわっと空中に広がるような聴こえ方である。HiFiといえば金田式の再現をさすのであろうが、このアンプの聴こえ方もこれはこれで素晴らしい。

まるでSELのチョークトランスのような外観のために、音には全く期待していなかったP&Cのインターステージトランスがこれ程までに素晴らしい音楽を紡ぎ出すとは、全く予想もしていなかった。オーディオに関して先入観程邪魔なものはないということをいやという程思い知らされた。

それにしても、インターステージトランスの違いでこれほどまでに聴こえ方が変わるものであろうか。2次開放で使っていることもこのアンプの音の素晴らしさに寄与していると思われる。

WEのアンプではインターステージトランスが2次開放で使われ、これがWEの音の高い評価に寄与しているとのことである。魅惑の真空管アンプ上巻に収録されている座談会の記録で、WEのトランスは2次開放で使うことが前提であり、終段管が接続された状態で(入力容量が接続された状態で)所定の周波数特性となるように設計されており、それがWEのノウハウであると指摘されていた。終段管に合わせたインターステージトランスを使用する必要がある、というのである。

P&Cがそこまで考えてこのインターステージトランスを製造させたのかどうかは不明であるが、結果として2次開放で素直な周波数特性となり、躍動感あふれる音になった。

最後に回路図である。初段と2段目を直結としたことにより、信号経路にカップリングコンデンサーが存在しない。このこともこのアンプの音に寄与していると思われる。
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チョークトランスのような外観のP&Cサビサビインターステージトランスに特性でも音でも敗北し、うなだれるタムラA351である。
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# by FujichromeR100 | 2024-01-08 15:06 | オ-ディオ・金田式DCアンプ | Comments(2)

ノイズキャンセラーの自作   

2023年 10月 22日

シャックはとにかくノイズレベルが高い。自作CB機のアンテナを伸ばし、SWを入れるとS9++のジャ~というノイズが常に出ている状態である。近くをJRが走っており、天候によってはその架線が放電することによると思われるジャ~というノイズが発生し、FT101ZDのSメーターがS9++に振れっぱなしになることもある。

FT8でDXを追っているが、最大の悩みのタネはこのノイズレベルの高さである。ノイズが出ると、JTDXのスクリーンにはJAと近場の強い局しか見えなくなり、DXの信号はノイズに埋もれて見えなくなる。

西無線研究所がCB用のノイズキャンセラーを発売しているのを見掛けていた。ノイズ検出用アンテナを設け、位相と振幅を調整してノイズを打ち消すと説明されていた。

そのようなことが可能であれば、長年の悩みの種であるノイズの問題解決に光明がみえるかもしれない。そこで、ノイズキャンセラーについて調べたところ、いくつかサイトがみつかった。

ノイズキャンセラーBLOG(シズオカAR96局)
回路図
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ノイズキャンセラー動画(シズオカAR96局)

JO7NLI局ブログから
回路図
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JI1NNE局ブログー自作ノイズキャンセラーでローカルノイズを消す【動画版】
回路図
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出典:FBニュース ノイズキャンセラー

JA4LAO OMの作例の実働状況。
https://www.youtube.com/watch?v=fjXDoYqOnzg&t=4s

いずれも原典はハムジャーナルに掲載されたJA1DI OMの記事のようである。JO7NLI局の回路図で早速試作することにした。
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簡単な回路なので感光マスクは直ぐに描きあがった。感光マスクを描くのは凡そ1年振りである。基板をエッチングして組み立てた。
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回路図ではアッテネーターが3dBとなっているが、2dBとした。ケース加工をして部品を取り付けた。
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送受切り替えリレーにはTS520からのハズシものを使用した。端子の確認をしないといけなかった。
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半日で組みあがり、早速実働試験である。
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ノイズアンテナは長さ約2mと1mの、左右不揃いのDPを物干し場に張った。このノイズアンテナもノイズキャンセリングの性能を左右する重要な要素のようである。

14MHzで実働試験をした時の様子である
https://twitter.com/JYATSUYANAGI/status/1715607214885613969
S9のノイズがノイズキャンセラーを調整するとS7程度に低下することが見て取れる。10回連続でデコード局数を記録して平均を比較したところ、ノイズキャンセラーOFFで17.4局、ノイズキャンセラーONで21.3局であった。確かに効果があるようである。しかし、位相調整用VRの効果が殆どなく、振幅調整VRもどちらかに回し切ったところでノイズが最小になる。シャープにノイズNull点が出るような効き方ではないところが気になる。

21MHzでも14MHz同様にNull点が出ない。それでも、ノイズが最小になるように各SWとVRを調整してFT8で効果を確認してみた。
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ノイズキャンセラーをONにすると、ノイズが消えて埋もれていたFT8に信号が浮かび上がることが確認できた。確かに効果はあるようである。しかし、さらに使ってみるとSWの位置によってはノイズが減少するものの、肝心の信号も弱くなってしまうこともわかった。

どうもどこかがおかしいようである。

JI1NNE局のブログに埋め込まれている動画をみると、18MHzできれいなノイズNull点が出ている。位相調整VRを回してもノイズNull点が出ている。
http://7388nne.blog.fc2.com/blog-entry-295.html

このキャンセラーの回路はFBニュースに掲載された回路である。今回製作したJO7NLI局の回路図と、FBニュースの位相調整回路部分を見比べると、2SK125のゲートと位相調整用VRの接続が違っていることに気付いた。正しい配線はFBニュースの回路図で、JO7NLI局の回路図は誤植であろうと思われる。

引用した全ての回路図に間違いがあるのだが、位相調整回路の配線はFBニュースの回路図だけが正解のようである。また、FBニュースの回路図では、位相調整回路側の入力のみにアッテネーターが入っている。来週末は2SK125のゲート周りの回路をFBニュースの回路図になるように修正し、アッテネーターを取り外す改造をすることが課題となった。JI1NNE局のノイズキャンセラーのように動作するようにすることが目標となる。






# by FujichromeR100 | 2023-10-22 20:10 | FT-8 | Comments(2)