UゾーンからのQSLカード - 1985年~1986年   

2018年 01月 17日

UW3DIトランシーバーについて調べたことがきっかけとなり、久々にソ連時代のQSLを取り出して来て眺めてみた。

1985年から1987年にかけて交信したUゾーンの局から届いたQSLである。

ソ連共産党書記長はミハイル・ゴルバチョフ(Михаил Сергеевич Горбачё)、日本の内閣総理大臣は中曽根という時代であった。

その当時はサイクル21の終焉期であったが、7Mcだけではなく、14McのCWとSSBでも多くのUゾーンの局と交信していた。

・UAΦZC
f0205744_19363159.jpg
ペトロパブロフスク・カムチャツキーの"Val"である。この局とは、初めて組み立てた水晶制御6ZP1-UZ42まな板式送信機と、まな板式1-V-2オートダイン受信機の組み合わせにより、3.5Mc CWで交信したのが最初であった。思い出深い局である。このカードは'85年に7Mc CWで交信した際のものである。

当時の常として、QSLに住所は記載されておらずUSSR-KAMCHATKA PETROPAVLOVSK-CITYとのみ記載されている。RIGも100Wとしか記載されていない。アンテナはデルタループである。

現在、QRZ.comを検索するとUAΦZC本人の写真、シャックの写真、住所を見ることが出来る。現在、60代のようであるから、当時は 30代に入ったばかりであったのだろうか。

・UZ9OWM/Φ
f0205744_19445593.jpg
当時のソ連らしい、質の良くない白黒写真印刷のカードである。赤字で「THE KURILS」と書いてあることに注目される。

裏面には、「Radiostation of scientific-sport expedition to Kuril islands」と書いてある。QTHを見ると、驚くべきことに「Shikotan is.」となっている。

色丹島で行われたぺディションのカードであった。

Chief Radio UA9OBA、Chief Pedition Valeri I. Govorutin他4名の名前が記載されている。ぺディションメンバーは6名だったようである。機器に関する情報は何も書かれていない。

・UAΦFFP
f0205744_19513644.jpg
この局とは何回か交信した。このQSLは7Mc CWで交信した際のものである。QTHは「Itrup Isl.」となっている。択捉島の局である。

この局のトーンは、当時のソ連の局によくみられた、「チャピる」トーンであった。「ピー」ではなく、「ピュ~」という独特のトーンである。送信機欄には、約40Wとしか記載されていない。受信機はR-250となっており、これは軍用受信機の払い下げ品だったはずである。QRZ.comで検索すると、この局は現在もリストされているのだが、現在もオンエアーしているかどうかは不明である。

・UAΦFDD
f0205744_19581637.jpg
7Mc CWで交信した「VLAD」から届いたQSLである。この局とも複数回交信した。QTHはユジノサハリンスク、旧樺太の豊原市である。リグの欄には150Wとだけ書いてあり、アンテナはLWとなっている。この局のトーンはチャピることなく、綺麗だった。

樺太は当時住んでいた小樽とは距離的にも近く、信号は強力であった。

当時、モスクワ放送は720Kcで日本語放送を送信しており、送信所がユジノサハリンスクにあった。小樽ではこの放送が強力に聞こえたものである。このモスクワ放送はその後ロシアの声と名を変えて継続したのだが、残念ながら、日本語放送は既に停波しており、現在は720Kcの放送を聴くことは出来ない。

Uゾーンのコールサインのうち、プリフィックスの最初の文字は、その局が存在する地域を現している。UAΦZはカムチャツカ、UAΦFはサハリン州、UAΦLはウラジオストック、UAΦCはハバロフスクという具合であった。この地域の区別はオブラスチと呼ばれていた。

各オブラスチにはDOSAAF(準軍組織)に属するアマチュア無線クラブ局があり、そこがQSLビューローも兼ねていた。対外的にソ連のQSLビューローはP.O.BOX 88, Moscowであったのだが、外国から届いたQSLはBOX88から各オブラスチのクラブ局に送られるという仕掛けであった。

当時、Wにソ連各オブラスチ・クラブ局の住所リストを所有している人物がいた。SASEといくばくかの代金を送り、そのリストを入手し、QSLはそのクラブ局ビューローに送ったものである。1986年にハバロフスクを訪れ、沿海州オブラスチ・クラブ局を訪問した際に、そのようにして送った自分のQSLが届いているのを見た。

UW3DIを組み立てるために必要な部品(軍用無線機からのハズシものジャンク)は、これらのオブラスチ・クラブ局から配布されていたようである。

1991年にソ連が崩壊した後、それらのオブラスチ・クラブ局がどうなったのか、QSLビューローの機能がどうなったのか、全くわからない。

・UAΦICQとUA9SHP
f0205744_20281610.jpg
これらは規格カードのようであり、裏面には交信データなどの欄が印刷されている。コールサインは表にハンコで押されている。左は戦勝40周年記念、右は共産革命60周年記念であろうか。こういうプロパガンダ色が強いソ連ならではのデザインも、今となっては懐かしく感じる。

なお、この手の印刷物だけではなく、風景写真などの絵葉書をQSLに使う局も多かった。絵葉書の写真印刷の質は低く、紙の質も悪かったのだが、当時は鉄のカーテンの向こう側であったソ連の風景を知るための、貴重な資料でもあった。

これらのQSLは、過ぎ去ったソ連時代の遺産といえよう。

[PR]

# by FujichromeR100 | 2018-01-17 20:38 | UW3DIトランシーバー | Comments(0)

シャンテック電子のループアンテナを使う高感度ラジオの計画   

2018年 01月 15日

シャンテック電子で、ループアンテナのキットを売っているのをみつけた。
http://www.shamtecdenshi.jp/make_radio/L-001_Loop.html
f0205744_21471387.jpg
1辺は40cmである。ループアンテナは面積が大きい程電波を捕捉する効率が上がり、感度が高くなるのだが、むやみに大きくすると場所を取って不便である。この程度が丁度良い手頃な大きさであろう。

外側の巻き線と260pFポリバリコンでのBC帯に同調し、内側の黄色い2回巻きのリンクコイルで信号を引き出せるようになっている。

このループアンテナを使う高感度受信機を計画してみることにした。

このループアンテナは、バーアンテナのようにシャーシーに取り付けて2連バリコンによりトラッキングを取る方式のスーパーに使うことは出来ない。ラジオの近くに置いて、リンクからの配線をラジオ本体に接続して使うことになる。

そうなると、選局はVFOで行い、アンテナと組み合わせる260pFバリコンはRF TUNEとなる。実際の操作は、VFOで選局し、260pFポリバリコンを最高感度に調整することになる。

ややこしいが、そういうラジオもまた面白そうである。なんといっても、トラッキング誤差が発生しないところが高感度ラジオ向けである。

以前組み立てたものの、何に使うか決めていない入力10.7McダブルコンバージョンAM検波 IF基板があるので、これを活用してみることにする。

基板の回路図と外観である。
f0205744_21595076.png
f0205744_22001707.jpg
増幅素子にはHycasを使い、10.7MHzのIF信号を2段増幅した後に10.245Mcの局発と混合して455Kcの第2 IFに変換し、9Kcのセラミックフィルターを通す。Hycasで1段増幅した後に、ダイオード検波する。得られたAF信号をオペアンプで増幅して出力する。W1FB改AGC駆動回路も組み込んである。

通信用AM受信機のIF基板として組み立てたのだが、これを使って高感度BCラジオを仕立てようというわけである。

VFOにはN6QWのSi5351 VFOを使う。周波数ステップを9Kcとして、秋月のクリック付きロータリーエンコーダーと組み合わせると選局が容易となろう。出力は、10.7Mcに522Kc~1611Kcを加えた11.222Mc~12.311Mcとする。

フロントエンド基板の回路図を考えて、基板パターンまで描いたところである。回路図と感光マスクである。
f0205744_19520870.png
f0205744_20002316.jpg


RFには出力側非同調のHycasを使い、DBMにはJA2NKD OMから頂いた、貴重なSBL-1を投入する。IFとVFOの周波数が近いために、DBMの後に10.7McのFMラジオ用3端子セラミックフィルターを接続する。フィルターの入出力インピーダンスは330Ωのようである。

たかが中波ラジオに、という程大げさな構成である。全体としてオーバーゲイン気味の設計のようにも思えるが、どういう聴感になるのかは組み立ててみないとわからない。

最近組み立てたビンテージゲルマTR 2N1108 IF段ラジオは等容量2連バリコンとパデイングコンデンサーを使うことにより、トラッキング誤差を小さくできたので、非常に感度が高く仕上がった。

これを上回る感度のラジオに仕上げることが目標である。

現在の視点からは斬新に見えるループアンテナであるが、ビンテージラジオ時代には汎用された形式である。ループアンテナには静電系のノイズに強いというメリットもある。
f0205744_22160408.jpg


このプロジェクトもボチボチと取り組んで行くことにする。

[PR]

# by FujichromeR100 | 2018-01-15 22:19 | シリコンTR&現代版ラジオ | Comments(0)

メリゴPSN方式7Mcダイレクトコンバージョン受信機-組み立てと実働試験   

2018年 01月 14日

JA2KAI野澤OMがハムジャーナル#86(1993年)に発表された「メリゴ方式」トランシーバーには非常に興味を惹かれた。当時、ミズホ通信で頒布された基板を購入したのだが、長年放置してしまい、ようやく送信機部分のみ組み立てて7MHz送信機にまとめたのは、2016年のことであった。

http://fujichrome.exblog.jp/26032048/

頒布された基板には、メリゴPSN方式受信部の回路も組み込まれているのだが、これは組み立てなかった。

メリゴPSN方式のダイレクトコンバージョン受信機を基板を起こして組み立てようと計画したのは2017年2月のことである。
http://fujichrome.exblog.jp/27556269/
このときは、KK7BによるminiR2の組み立て計画も平行して進めており、miniR2用とメリゴ受信機用の主要基板を組み立て終えたのが、2016年2月26日であった。
http://fujichrome.exblog.jp/27592170/

miniR2受信機はその後組み立て、AF-LPFと、AFをサンプリング信号にするW1FB改AGCシステムも装備して、フィルター法に匹敵する聴感の受信機に仕上がった。

しかし、メリゴ受信機の基板は組み立てることなく、放置してしまっていた。

正月休みに積み残しのプロジェクと2つを片付けた勢いに乗って、先週からこのメリゴPSN方式7MHzダイレクトコンバージョン受信機の実働試験を目指し、作業を開始した。

先ずは、放置してしまっていた基板をアルミ板に取り付けた。
f0205744_19371998.jpg
メリゴ方式ではオペアンプとマルチプレクサーの4052用に正負電源が必要である。これには、MC1496によるAM変調を実験したまな板セットに使っていた、7812と7912による正負電源基板とトランスを取り外して流用した。

今週は基板間の配線を行った。
f0205744_19443206.jpg
RF-PSNは7474のD-F.Fなので、VFOは目的周波数の4倍の周波数を出力しないといけない。この受信機は7Mc用なので、VFOの周波数は28Mc台となる。

この目的には、N6QWの240X320 TFT用Si5351 VFOのオリジナルスケッチが使える。早速、128X160 TFT用のスケッチを書き変えた。組み立てたVFOである。
f0205744_19484463.jpg
TFTの表示が7.1Mcのときに
f0205744_19493912.jpg
その4倍の28.4Mcが出力される。
f0205744_19501216.jpg
このVFO、アンテナ、スピーカーを接続して、実働試験を行った。
f0205744_19512368.jpg
例によって、当初は何も聞こえなかった。製作物が一発で動くことはまずない。

通常のアナログ受信機と異なり、調整する部分が無いデジタル的な受信機なので、何が悪いのか全く見当も付かなかった。

PPSNとコンバイナーの間に、原回路には無いボルテージフォロアーをバッファーとして追加しておいたのだが、いろいろといじっているうちに、どうもこれが悪さをするようであることに気付いた。

このボルテージフォロアーバッファーを撤去したところ、7Mcの信号が盛大に聞こえるようになった。

結局、オリジナル通りの回路になったわけである。回路図は次のとおりである。
・2SK241 RF増幅-4052マルチプレクサー

f0205744_22184467.png
f0205744_20254581.jpg
・4列6段PPSN
f0205744_20093037.png
f0205744_20261626.jpg
・コンバイナー
f0205744_20100159.png
f0205744_20270406.jpg
(縦に並んでいる4850オペアンプ2個は撤去)

・7474 RF-PSN
f0205744_20245165.png
f0205744_20283937.jpg
・7石SEPP 低周波電力増幅回路
f0205744_20294038.png
f0205744_20350317.jpg
組み立ててから凡そ1年も放置していたメリゴ受信機基板である。無事に7McのSSBが受信できたことには感無量であった。

同じPSNを原理としながら、miniR2よりも遥かにシンプルでSingle-SignalのSSB受信機が出来上がるのであるから、「メリゴ」方式はJAが誇るべきPSNシステムといえよう。

このメリゴ受信機で7Mcを受信している様子をYouTubeにアップした。

https://www.youtube.com/watch?v=5mrJlCVRy3g

一聴してわかるとおり、モンキーチャット妨害が著しい。これは、AF回路にLPFを入れていないので、やむを得ないところである。暫く7Mcを聞いた結果、モンキーチャット妨害以外にも、次の問題に気付いた。

・強力な局のSSBが素通りして「モガモガ」が被って混信する妨害
・AGCが無いので、フェージングの影響をモロに受ける

モンキーチャット妨害はダイレクトコンバージョン受信機に共通する問題である。その防止には、Fc=3Kc程度のできるだけ急峻なAFフィルターを装備する必要がある。

miniR2ではオペアンプを使った18db/oct x 2段LPF+ノッチフィルター1段によるフィルター回路を2段縦列接続することにより、どうやら許容できる程度にモンキーチャットが軽減された。DSPによるAFフィルターを投入することが理想であるが、アソビでやるには高すぎるので現実的ではない。

そこで、MAX295CPAという、8th orderバターワース・スイッチドキャパシターフィルターをRSオンラインで注文してみた。

http://docs-asia.electrocomponents.com/webdocs/12b1/0900766b812b1189.pdf

このLPFで高価が不十分であれば、オペアンプによる18db/oct×6段程度のLPFを組み立ててみることになる。

JA2KAI OMはHJの記事の中で、夜間に短波放送の通り抜けによる混信が発生すると述べられている。今日は、強力なSSB局の通り抜けによる、モガモガ音の混信妨害を経験した。この通り抜け混信妨害を回避するためには、RFにJ310×2またはHycasを使用して、RFゲインを手動で調整可能とするのが良さそうである。

メリゴ受信機にも、miniR2と同様にAF信号からW1FB改AGC駆動基板によりAGC信号を作り出し、RF段のゲインを制御することは可能であると思われるが、miniR2では、AF-LPFとAGCを装備したことにより、全体が複雑化してしまったことが反省点ともなっている。そこまでやるなら、フィルタータイプのスーパーにした方がシンプルではないかという議論になるのである。

メリゴ受信機ではダイレクトコンバージョン受信機のシンプルさを生かして、手動RFゲイン調整を設ける程度に留めることにしたい。

DC受信機でSSBを受信する際、AF-LPFが常に課題となる。MAX295CPAによりモンキーチャット妨害の問題が解決するのであれば、やや高価であるのが難点ではあるが、DC受信機用LPFの定番と成り得るであろう。

[PR]

# by FujichromeR100 | 2018-01-14 21:17 | メリゴ-PSN | Comments(0)

UW3DIトランシーバー - ソ連時代の伝説のトランシーバー   

2018年 01月 11日

1991年にソ連邦が崩壊するまで、ソ連におけるアマチュア無線の実態を西側で詳しく知ることはできなかった。

ソ連時代はアマチュア無線が盛んで、多くのUゾーンの局がアクティブであった。CWの局にはチャピリを伴う独特のトーンで出ている局が多かった。UAΦFFP局は択捉島から出ていて、Uゾーン特有のチャピるトーンであった。SSBの信号にも癖があり、同調し難いSSBを送信する局や、スプラッターしている局も多かった。

当時、「鉄のカーテン」の向こう側にいたソ連のアマチュア局の実態を紹介した貴重な報告が、1978年頃のCQ誌に、JR1コールの津久井OMという人により報告された。

津久井OMはハバロフスクのアマチュア無線を統括する無線クラブを訪問し、現地のハムとアイボールQSOをし、個人ハムのシャックも訪れてその様子を紹介された。また、ソ連のハムに使われている「UW3DI」というトランシーバーを回路図と共に紹介された。

当時のソ連でハムになるためには、各地域にある無線クラブに所属し、SWLから始めてクラブ局でオペレートの経験を積みながら個人局の資格を取得し、トランシーバーを自作しなければいけなかった。ソ連のハムは西側のリグを手にすることができなかったのである。

UW3DIはオールバンドのSSBトランシーバーである。これを自作するというのだから、当時はソ連のハムは技術が高いものだと関心したものである。

当時、ソ連からの情報は非常に限られており、UW3DIの詳細を知ることはできなかった。1986年にハバロフスクを訪れた際、無線クラブを訪問した。そこには真空管式UW3DIの残骸があったように記憶している。無線クラブには軍用と思われる受信機があり、14McでYBの局がCWで聞こえた(この時の訪問記はCQ誌1986年12月号に掲載されている)。

最近調べてみると、インターネットにもYouTubeにさえも、UW3DIの情報が沢山出ていることがわかった。今更ながら、ソ連が崩壊したことを実感される。

UW3DIは、モスクワのユーリー・クドリャーツェフ(Юрий Кудрявцев )氏が設計・製作したオールバンドSSBトランシーバーである。1969年に開催されたDOSAAF(準軍)の無線機器コンペティションに全真空管式のUW3DI(UW3DI-1、15球24ダイオード)が出品され、無線通信機器部門で第一席となった。これにより、1970年の雑誌"Radio"に詳細な解説記事が掲載された。続いて、ハイブリッド方式のUW3DI(UW3DI-2)が1974にRadio誌に発表された。非常に古い設計であることがわかる。

UW3DIは3.5、7、14、21、28(28,0- 28,5 、28,5-29 MHzに分割)のSSB、CWトランシーバーであり、全真空管バージョンは100W、ハイブリッドバージョンは60W出力である。

ブロックダイアグラムである。
https://translate.google.co.jp/translate?hl=en&sl=ru&u=http://msevm.com/hamradio/uw3di/&prev=search


500Kcのメカフィルを遣うフィルタータイプである。VFOは5.5-6Mc、IFは6-6.5Mcとなっている。これを第2ミクサーで目的バンドに変換するダブルコンバージョンタイプである。受信部はいわゆるコリンズタイプのダブルスーパーとなる。なお、VOXが設けられている。

真空管はソ連独特の品種であり、規格は全くわからない。

真空管式UW3DI-1の回路図である。
f0205744_21025580.png
ファイナルはGU29という双ビーム管をパラにしている。バラモジはD18というダイオードを使用したリングバラモジである。マイクアンプとカソードフォロアー・VOXアンプには6N1Pという双3極管を、プロダクト検波とキャリアー発振には6N23Pという双3極管を使用している。500Kcのメカフィルは9D-500-3Wという番号である。CWフィルターは501Kcのクリスタルを使う、シングルクリスタルフィルターである。

受信回路にはAGCが無く、Sメーターも見当たらない。UW3DI-1の改造情報として、AGCとSメーターを付加する回路を示すページがあった。

ハイブリッドとなったUW3DI-2にはAGCもALCも装備されたようである。

当時、UW3DIの外観などすらよくわからなかったのだが、現在ではインターネットで多くの写真を見ることが出来る。
f0205744_22314473.jpg
f0205744_22321422.jpg
この2台を見比べると微妙に違う。部品は、軍用無線機のハズシ物などが無線クラブに供給されたとのことである。それらの部品を使って全て手作りするわけだから、外観には個性が出る。

UW3DIの構造がよくわかるYouTube動画である。
https://www.youtube.com/watch?v=fRulo_b8ky4
多段のロータリースイッチが使われている。こういう特殊な部品は無線クラブを通して入手できるシステムが確立されていたのであろう。

UW3DIを使い、交信するシーンである。
https://www.youtube.com/watch?v=QNCVB22eiWk
パネルにUW3DI-1 UV9CCDと記されている。全真空管式のUW3DI-1のようである。動画の3分40秒付近で、RZ9UGWが20mで出すCQを、オペレーターがコールする。オペレーターのコールはRZ9CQQ、名前はアンドレイ、住所はグロムカと聞こえる。RZ9UGWはRZ9CQQに59のレポートを送っている。

YouTube冒頭のシーンからみると、RZ9CQQ局長は高層マンションに住んでいるようであり、デスクにはフラットスクリーンのデスクトップパソコンがある。現代のロシアで撮影された動画である。全真空管式のUW3DI-1が今でも使われていることを、この動画は示している。

動画でまず気付いたのが、UW3DIの受信音の良さである。なかなかFBな受信音である。また、聞く限り、日本製のSSBトランシーバーでダイヤルを回したときのSSBの聞こ方と違いは無い。

「UW3DI- the Timeless Transceiver」
http://www.antentop.org/006html/006_p81.htm
によると、1970年代はソ連のハムの75%、1980年代は60%、1990年代には40-50%がUW3DIを使っていた。21世紀の現在では、日本製リグの中古品、軍用品の台頭により、僅かに25%のハムがUW3DIを使っているに過ぎないとしている。

しかし、現在においても1/4のハムが1970年代に設計されたリグを使用していることは、むしろ驚愕すべきことであろう。

UW3DIがこのように広く使われることになった理由は、回路のシンプルさ、再現性の高さ、調整の容易さであるとしている。現在に至るも、UW3DIに匹敵する設計のトランシーバーはロシアにおいて現れていないとしているのである。

これは、資本主義経済圏において、各メーカーがしのぎを削って高性能の無線機を開発し続けてきた歴史とは全く違う歴史を辿った、旧共産圏のロシアならではの事情でもあるといえよう。

1970年代といえば、JAではTS520やFT101が登場した時代である。現在のJA製トランシーバーは、これらの古典機からどれ程進化したかを考えると、旧ソ連社会と西側社会との違いが改めて実感される。

UW3DIを設計・製作したЮрий Кудрявцев (UW3DI)と、UW3DIトランシーバーである。
f0205744_23095633.jpg
1980年代にUゾーンから届いたQSLの多くには、UW3DIと記されていた。1985年と1986年に交信した局から届いたQSLである。
f0205744_19184803.jpg
RIGの欄には「UW3DI」と記載されている。中には、UW3DI-1と記載しているカードもある。
f0205744_19213712.jpg
こちらにはUW3DI-2と書いてある。
f0205744_19222555.jpg
YouTubeのコメントを見ると、UW3DIは現代でもロシアの局の琴線に触れるトランシーバーのようであり、多くの動画がアップされている。

[PR]

# by FujichromeR100 | 2018-01-11 23:13 | UW3DIトランシーバー | Comments(0)

JA7CRJ OMによるSSBジェネレーターCQ1号を使う7Mc SSB TRCVRの組み立て - バラモジの歪み   

2018年 01月 07日

JA7CRJ OMによるSSBジェネレーターCQ1号を使う7Mc SSB TRCVRがほぼ完成したところである。今日はUY807パラリニアを接続してみたところ、出力が凡そ20Wとなることが確認できた。
f0205744_20441949.jpg
午前中の早い時間に、強力な信号でCQを出している局が聞こえたので、コールしてみた。

すると、「音が歪んでいて何をいっているのかわかりません。無線機を調整してからまた出てきて下さい。」という、衝撃の応答があった。

顔を洗って出直して来いというほど、酷い歪みが出ているとは予想外であった。

早速、JA1AEA OMから教えて頂いた回路を参考に組みたてた、7Mc用モニターを引っ張り出してきて送信音を聴いてみた。マイクに口を近づけると確かに音が割れて聞こえる。過変調歪が発生しているのである。

バラモジはSN16913である。コンデンサーマイクの出力をエミッターパスコン無しの1石低周波増幅回路で増幅して、SN16913に入力している。

回路図と組み立てた基板を比べてみると、現回路図ではマイクの入力に6.8KΩの抵抗が直列に接続されているところを、当初はダイナミックマイクを使うつもりで1KΩに変更していたことに気付いた。早速これを原回路通りに6.8KΩに戻した。

送信してみると、出力が少し減ったようである。SN16913へのAF入力電圧が低くなった模様である。

この状態で、話す際にマイクを口から離すように気を付けたところ、歪は感じられないというレポートを貰えるようになった。

平衡変調で過変調になると酷いひずみを発生するが、平衡変調回路の後段にフィルターが入るために、スプラッターはしないという特徴がある。

2009年に初めてオリジナル回路の7Mc SSB送信機を組み立てた際、ダイナミックマイクの信号をどの程度増幅すると良いのか見当がつかなかった。

良くわからないままに、MIC-2SK30-2SC1815-2SC1815エミッターフォロアーという回路でリングバラモジを駆動する回路としたところ、バラモジへのAF入力が過大となり、酷い過変調歪みが発生してしまったという大失敗をした。

このときは、2SK30を撤去してマイクアンプを1石にしたところ過変調状態が解消し、漸く応答が来るようになった。

リングバラモジでは、AF入力電圧をRF入力電圧の1:10以下に設定しないといけないことを、その時知った。

実際の回路では、キャリアー発振回路の負荷にFCZコイルの共振回路を接続し、その2次側をリングバラモジに接続する。AFアンプには60倍程度の増幅度に設定したオペアンプを使うと、歪みなく平衡変調される。電圧値をそれ程シビアに設定しなくても良いところがリングバラモジのメリットである。

CQ誌1992年4月号のAYOの製作教室にSN16913のデータが示されている。それによるとキャリアーとAFの電圧がPEP 300mV以下と指定されている。これ以上の電圧を加えると、歪が発生するとされている。

コンデンサーマイクは出力電圧が高いので、PEP 300mVの入力制限をオーバーし易いのであろう。要注意であることが実感された。

なお、ツイッターでSN16913のRF入力ピンとAF入力ピンをCQ1号の回路と逆にすると良いという情報を教えてもらった。これも試してみる必要がある。

JA7CRJ OMのTRCVRは非常に再現性が高いのだが、バラモジに使われているSN16913の入力電圧の上限を踏まえて使う必要があることが痛感された。

SSB送信機を自作する場合、平衡変調回路の特徴を踏まえて調整をしないと、過変調歪みが発生する。調整はダイオードリングバラモジの方がICより容易と感じる。

[PR]

# by FujichromeR100 | 2018-01-07 21:22 | CQ1号 | Comments(0)

JA7CRJ OMによるSSBジェネレーターCQ1号を使う7Mc SSB TRCVRの組み立て-ほぼ完成   

2018年 01月 06日

正月休みに、組み立て後6年間放置していた、JA7CRJ OMによるCQ1号とトランスバーター基板をケースインしたところである。

http://fujichrome.exblog.jp/29107430/

今日は、朝から基板間の配線を行い、実働試験にこぎ付けた。
f0205744_20575443.jpg
受信部は何の手直しも必要とせず、コアの調整だけでー20dbμVの信号が聞こえるようになった。素晴らしい再現性である。

オリジナルは50Mc用TRCVRである。オリジナルの送信回路は、「SN16913送信MIXer-2SC1815-2SC1906」という構成で出力は100mWとなっており、この回路はトランスバーター基板に送受切り替えリレーと共に、全て組み込まれている。

これから2SC1906段を撤去して「SN16913送信MIXer-2SC945-トランスバーター基板出力」とし、これにKnobless Wonderで巧く働いたファイナル回路を独立した基板にした 「2N3904-BD139-定K型3段フィルター」リニアアンプ基板を接続した。この基板の定格出力は2Wである。

2N3904-BD139リニアアンプ基板の写真と回路図である。
f0205744_21402756.jpg
f0205744_21410301.png
なお、BD139には秋月の小型放熱器を取り付けた。

マイクには秋月の「一山いくら」のボタン型ECMを使った。見掛けと値段によらず、レポートで音質の評判は良い。

送信試験をすると、お約束の発振である。発振の原因を探ってみると、どうも単純なオーバーゲインのようである。そこで、トランスバーター段のアンプのゲインを落とす方向で調整してみた。

当初、エミッターパスコンを撤去したところ、発振は収まったのだが出力が0.4Wした出なくなってしまった。これではゲインの落としすぎである。

そこで、Knobless Wonderを参考にし、下の回路図のようにエミッターパスコンと直列に抵抗を接続したところ、発振が停まり、出力もピークで2.5W程になった。
f0205744_21444679.png
これで送信回路も安定し、どうやらCQ1号を使うJA7CRJ TRCVR 7Mcバージョンが正常に動作する状態に持ち込めたようである。

受信回路は何ら問題なく動作し、送信回路も簡単なゲイン調整のみで正常に動作するようになった。このTRCVRは非常に再現性が高いようである。JR7CRJ OMの設計が秀逸であることが実感される。

ここで、ケースのCA80Wの鉄板製フタに電動ドリルでSP取り付け用の穴を開けた。電動ドリルのパワーは破壊的である。

こうして出来上がったTRCVRである。
f0205744_21544480.jpg
時間は15:00過ぎであった。アンテナを接続してみると、ノイズがあり、あまり多くの局が聞こえない。が、7.130近辺で非常に強力な局がCQを出した。半信半疑でコールしてみると、驚くべきことに応答があり、58のレポートを貰うことが出来た。愛知県の局で32mHの3エレを使っているとのことである。そのアンテナのおかげで、こちらの2.5Wのか弱い信号を受信することができたのであろう。

こちらの音質に問題が無いかどうか、歪など無いかどうか尋ねてみたのだが、レポート内容は「安定に入感している」との一点張りであり、音質が本当のところどうなのか、歪など感じられないのかという肝心のギモンの答えは結局良くわからなかった(恐らく、大きな問題は無いのであろうと思われたのだが)。

-・・・-

1992年に出版されて一世を風靡した「初心者のためのトランシーバー製作入門」(ビギトラFM編)の続編として1994年に出版された「初心者のためのトランシーバー製作入門 AM・SSB編」である。
f0205744_22034646.jpg
この本の「最終教程」に50Mc SSBトランシーバーの自作プロジェクトが記載されており、CQ1号とトランスバーター基板の製作が解説されている。

JG7SYI OMと2011年4月に7Mcで交信して頂いたとき、OMはCQ1号を使うリグでQRVされていた。その音質が素晴らしく、自分でも直ぐに自作に取り掛かったのだが、CQ1号とトランスバーター基板が完成した後で、6年もの永きにわたって放置してしまっていたのである。

それが、今年の正月休みから取り掛かり、今日、ようやくほぼ完成して、試験交信でレポートを貰うことも出来て実用になることが確認された。早速、先に完成したJH6BG熊本してぃースタンダード50Mc TRCVRと共に、TSSに保証認定を依頼する予定である。

原回路では局発にVXOを使用していた。試作機では周波数可変範囲が非常に狭かったようである。今回まとめた7Mcバージョンでは、局発に、当時は存在しなかったN6QW Si5351 VFOを使った。VXOとは異なり、7McバンドをQRHフリーでフルカバーできることに加えて、周波数直読である。

このような現代の技術の恩恵を受けながら、長年の懸案であったCQ1号 JR7CRJ TRCVRを完成できたことには感無量である。

安定な動作のために、更に調整を詰めることと、UY807パラリニアを接続して試験してみることは明日以降の課題である。

[PR]

# by FujichromeR100 | 2018-01-06 22:16 | CQ1号 | Comments(0)

JA7CRJ OMによるSSBジェネレーターCQ1号を使う7Mc SSB TRCVRの組み立て-ケースインに着手   

2018年 01月 03日

1994年に出版された、JA7CRJ OMによる「ビギナーのためのトランシーバー製作入門 AM・SSB編」に掲載されている「CQ1号」というSSBジェネレーター基板とトランスバーター基板を組み立てたのが、2011年6月であった。

http://fujichrome.exblog.jp/15979311/

県内の横手市に在住のJG7SYI OMがCQ1号を使う自作TRCVRで7McにQRVされて、交信して頂いた際に、その柔らかくFBな音質に感心し、大いに触発されて一気に基板を組み立てたのであった。

が、7Mcではセパレート式のリグを既に使用していた経緯があったことに加えて、当時は2石自励式VFOしかつくることができなかったので、ジェネレーターの10.695Mcに対して3.6Mc台のVFOを組み立てる必要があり、周波数関係が良くなかったので手をこまねいてしまっていた。

そのような理由のために、折角組み立てたCQ1号とトランスバーター基板は6年近く放置されてしまっていた。

2016年の4月に、お世話になっているKさんにN6QWのSi5351 VFOの作り方を教えて頂いた。これにより、自励VFOの周波数制限は撤廃され、自由な周波数をせっていして出力できるようになった。こうなると、スプリアスの点で有利なアッパーヘテロダインで7McのTRCVRが構築できることになる。

廃業したと噂されていたアイテックに電話をして、運良く10.635のキャリアー発振用X'talを入手することができて、換装したのが2017年2月、約1年前のことであった。

http://fujichrome.exblog.jp/27509189/

この正月休みは、漸くこのCQ1号とトランスバーター基板をケースインしてトランシーバーにまとめる作業に着手した。

まずは、N6QW VFOを組み立てた。
f0205744_20161041.jpg
Arduino NANOではなく、アイテンドーの「あちゃんでいいの」を使うバージョンである。

出来上がったN6QW VFOとCQ1号基板である。
f0205744_20172332.jpg
トランシーバーにまとめるために必要な部品を集めた。ケースはアイデアルのCA80Wである。熊本シティースタンダードに使うCA90Wより一回り小さい。
f0205744_20182866.jpg
CA80Wを加工して、部品と基板を取り付けた。
f0205744_20214551.jpg
ケースが小さいいのでスペースが不足するかと心配したが、基板を取り付けてみると、内部には余裕があることがわかった。
f0205744_20225276.jpg
オリジナルは50Mc用出力150mWである。トランスバーター送信部の構成は、送信ミクサーSN16913の後に2SC1815-2SC1906の2段増幅である。

このトランシーバーは7Mc用に改造している。7Mcでは1625パラ50Wリニアを使っており、その7ドライブに要する出力は約0.3Wである。このため、送信系はSN16913-2S1815から外部に引き出し、Knbless Wonderで良く働いた2段リニアを独立した基板に組んだ、2N3904-BD139 2段増幅リニアで増幅することとした。ミクサー後に計3段増幅すれば、7Mcであれば0.5W以上は確保できると思われる。

基板間の配線などは、来週以降の課題となる。

[PR]

# by FujichromeR100 | 2018-01-03 22:16 | CQ1号 | Comments(0)

JH6GZB SSBジェネレーター & JA6XIトランスバーター 50MHz SSB TRCVR完成-「もう一つの」熊本シティースタンダード   

2018年 01月 02日

7年前に組み立てていたJH6GZB SSBジェネレーター基板とJA6XIトランスバーター基板の実働試験をようやく行ったところである。

http://fujichrome.exblog.jp/28465156/

この正月休みは、これらの基板をアイデアルのCA90Wケースに組み込んで50MHzトランシーバーとしてまとめる作業を行った。
f0205744_18034049.jpg
1995年に初めて組み立てた、JA6BIオリジナルバージョンの熊本シティースタンダード50MHzトランシーバーのパネルとほぼ同じレイアウトのパネルとした。
f0205744_18041487.jpg
当時、鈴商で売っていたラジケーターをSメーターに使用したのでが、手持ちを使い切ったのでサトー電気の新品ラジケーターをSメーターに使った。オリジナル通りのVXOとしたため、バーニヤダイヤルを取り付けた。

内部には、当時と同じようにバリコンと基板を取り付けた。
f0205744_18073662.jpg
リニアアンプ基板には、組み立てておいたRD00HVF-1-RD15HVF-1 2段アンプを起用した。

SSBジェネレーターの周波数は12.96Mc、局発の周波数は63Mc台である。1995年に組み立てたJA6BIオリジナルバージョンの50Mc TRCVRには八雲通信の9Mc SSBフィルターを使用し、局発は59Mcとしていた。この59Mcの局発成分が出力に漏洩することが問題であった。JA6BIオリジナルバージョンのトランスバーターではDBMの後にBPF回路が存在していないために発生した問題であることに気付き、DBMの後にBPF回路が接続されているJA6XI トランスバーター基板と入れ変えた経緯がある。

今回、IFが9Mcから12.96Mcへと高くなったので、局発の周波数が63Mcとなり、50Mcとは離れたので局発の漏洩は発生し難いはずである。しかし、万全を期するためにトランスバーター基板の出力とリニアアンプ基板の間にfc=51McのΠ型3段LPFを接続することにした。95年当時、この方法に気付けばトランスバーター基板を入れ替えなくても済んでいたかもしれない。

Π型3段LPF、T型BPF、送受切り替え基板をエッチングして組み立てた。
f0205744_18174181.jpg
50Mcには10材(黒)のトロイダルコアーを使うべきであるのだが、沢山余っていた12材(緑白)コアーを活用した。

LPFをトランスバーター基板の出力に接続したところである。
f0205744_18195888.jpg
ここで、いよいよ実働試験を行った。
f0205744_18210645.jpg
ディップメーターの信号が無事に受信できたので、受信はOKのようであった。

送信すると、盛大に発振してしまう。当初、何処が発振しているのか特定できずに苦労したのだが、以下の手直しで送信回路も漸く安定した。

・RD00HVF-1-RD15HVF-1 2段リニアはオーバーゲイン。RD06HVF-1単段リニア基板に換装
・ジェネレーター基板の送信2SN241アンプの負荷となっているFCZコイルを、中点に給電するように手直し
・リニア基板の出力とパラに330Ωを接続
・IFTケースのアース忘れの手直し

手直し後は、口笛ピークで出力2.5Wとなった。また、周波数範囲は、50.1-50.388Mcとなった。SSGで感度を確認したところ、-25dbμVのキャリアーが辛うじて聞こえることがわかった。

手直しが終了した、JH6GZB・JA6XI 50Mc TRCVRである。
f0205744_18304154.jpg
送信音質の確認と、キャリアーポイントの詰めは今後の課題である。ツートーン波形によりキャリアーポイントを設定するのがわかり易そうである。

7年前に組み立てたまま放置してしまっていたJH6BZG SSBジェネレーターとJA6XIトランスバーター基板を漸くトランシーバーにまとめることができた。JA6BIオリジナルバージョン熊本シティースタンダードとは異なる、「もう一つの」熊本シティースタンダードが漸く形になった。

[PR]

# by FujichromeR100 | 2018-01-02 18:36 | 熊本シティースタンダード | Comments(0)

ゲルマTRを使うSSBジェネレーターの試作-6.4MHzラダーフィルターで完成   

2017年 12月 29日

ゲルマトランジスタを使うSSBジェネレーターの試作という、究極のゲルマプロジェクトである。

前回、ゲルマのfαbが低いことを勘案して3.27MHzのX'talを使いUSBフィルターとLSBフィルターを使用してSSBがでるかどうか、ツートーンを指標に検討したが、どうしてもツートーン波形が描出されるように調整することができなかった。

http://fujichrome.exblog.jp/28956138/

この失敗は、3.27MHzのX'talでは周波数が低すぎて、SSBの濾波に適する、2.5Kc程度の帯域を確保できなかったためであろうと考えられた。

そこで、今日は6.4McのX'talを使用するLSB型ラダーフィルターをSSBジェネレーター試作基板に組み込んでSSBが出力されるかどうか、確かめることにした。

まずは、G3UUR法により6.4Mc HC49/U X'talの水晶定数を測定した。
f0205744_20290889.jpg
G3UUR法の基板である。
f0205744_20294494.jpg
回路はインターネットで探すことが可能であろう。発振回路に使うセラミックコンデンサーは、銘板定数ではなく、実際の定数を求めて計算する必要がある。G3UURにより求めたfsが、SSGとオシロで実測して求めたfsと一致するかどうかにより、G3UUR法システムの精度を検証することが可能である。

求められた6.4Mc水晶のfsは6398.345Kc、Lmは36.12mH、実測したホルダー容量は3.9pFであった。

希望の帯域2.7KHz、水晶4素子として、これらの定数からMinimum Cohn型LSBフィルターの結合コンデンサーは47pF、入出力インピーダンス(I/O)は528Ωと求まった。

これらの計算は、全てDishalプログラムに付属のプログラムにより行った。

また、6.4Mcに合わせて、同調回路も変更した。6.4Mcフィルターに合わせて変更した回路図である。
f0205744_20390283.png
キャリアー発振回路は2SA353のままでSBMを駆動するのに十分な出力が得られた。発振周波数は6.4007Mcから
f0205744_20403537.jpg
6.3940McまでVXO可能であった。
f0205744_20413594.jpg
銘板周波数の6.4Mcから6Kc周波数が下がれば、USBが発生するようにキャリアー周波数を設定することは可能であろう。

また、DSBアンプとSSBアンプに使用していたfαb=15Mcの2SA101を、fαb=120Mcの2SA234と換装した。日立の古い文献によると、2SA234はFMのIF(10.7Mc)増幅用の石のようである。6.4Mcの増幅は余裕であると思われる。

ここで、前回と同様に、マイク端子に自作ツートーンオッシレーターからツートーンを入れて、出力波形を観察した。

SBMの振幅調整とキャリアー周波数設定用のTCを色々と調整してみたところ、ようやく2トーン波形が観察される設定にたどりついた。
f0205744_20472936.jpg
SBMの振幅調整半固定VRとTCの調整は非常にシビアで、このようなツートーン波形が観察されるのはクリチカルに一点のみであった。これは、Knobless Wonderでも同じであった。

このときのキャリアー周波数は6.39733Mcであった。
f0205744_20551805.jpg
波形から計算されるSSBの出力は0.6mWであった。6.4Mc SSBを周波数変換するDBMでは、局発は約10mWであるので、RFはその1/10以下とするのが適当であり、0.6mWは妥当なレベルといえそうである。

シングルトーンを入れた時の波形である。
f0205744_20563411.jpg
リップルが乗っているシングルトーン波形となることは、Knobless Wonderと同じである。SBMの限界であろうか。

この程度の波形でも、Knobless Wonderの音質には問題が無いというレポートを貰っている。

熊本シティースタンダードのDBM型に振幅調整と位相調整を付けたバラモジであれば、リップルの無いシングルトーン波形となるのかもしれない。

-・・・-

オールトランジスタのKnobless Wonderが巧く動作したことに触発されて取り組み始めた、ゲルマトランジスタによるSSBジェネレーターの試作である。6.4Mc 4素子のラダーフィルターを使用して、ようやくSSBが出るところまで調整できた。

これまでSSBジェネレーターの調整では、キャリアーポイントをフィルターの傾斜の-15dbから20db落ちの位置に設定していたのだが、このツートーン波形を指標とする調整では、オシロで波形を観察しながら調整できるのでコツをつかめば調整は容易かもしれない。

最近の自作SSB送信機ではナカナカお目にかかることが出来ないSBMが、バラモジとして一応実用的に使えることを経験した。テスターで選別したOA90を使用したSBMである。
f0205744_21482993.jpg
Knobless Wonderを組み立てなければ、SBMを使ってみようと思い立つことはなかったに違い無い。

また、FM IF増幅用2SA234も今回初めて使ったゲルマである。
f0205744_21503730.jpg
この石を使えば、9McのSSBジェネレーターも組み立てることが可能と思われる。

究極のゲルマプロジェクトと思われた、SSBジェネレーターが一応完成した。13.4Mc台の局発とMIXして、7McのLSBとするためのトランスバーター基板の作製はが、次なる課題である。




[PR]

# by FujichromeR100 | 2017-12-29 21:53 | ゲルマトランジスター | Comments(0)