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もう一つの積み残し-熊本シティースタンダード50Mc SSBダブルVXOトランシーバー   

2010年 07月 16日

 HJ#44は熊本工作研究会の特集号で、内容的に極めて充実していると思う。この号の記事の中で、実際に自分で組み立てたのは、JA6XI 和田OMの144Mc SSBトランシーバーだけであった。

が、もう一つ、組み立てたいと考えた記事があったのである。JH6GZB木下OMによる「50Mc SSBダブルVXOトランシーバー」である。

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 ジェネレーターの構成は、JA6XI和田OMの144Mc SSBトランシーバーと殆んど同じで、復調/バラモジにはTA7320Pを使い、増幅素子には2SK241を起用して受信部はIF2段、送信部は1段となっている。ブロックダイヤグラムと回路図は写真のとおりである。

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 回路図をみると、受信IF増幅段の結合方法が2代目ジェネレーターの回路を踏襲していることがわかる。従って、IFトランスは2代目と同じ要領で巻けばよいことになる。なお、AFアンプには、現在一般的なLM386ではなく、μPC575C2を起用している。これは古いICのようである。

 この記事には、ありがたいことに、基板パターンが掲載されているのである。

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 このため、当時、50McのSSBトランシーバーを組み立てようと考えた際に、この記事も有力な候補となったのであるが、結局、2代目ジェネレーターを使うCQ誌1981年7月号の記事に従い、50Mc SSBトランシーバーを組み立てた。が、この記事の回路に使用するTA7320PとμPC575C2を当時、サトー電気から仕入れておいてあり、これらはそのまま現在まで死蔵されている。

 この記事のジェネレーターは、熊本シティースタンダードに関する「もう一つの積み残し」となっていることを、最近、また#44を読み直してみて実感した。50McのSSBトランシーバーは先般、ようやく手直しが完成したばかりなので、実際はもう必要ないのだが、この積み残しが何となく心に引っかかり、あらためて手掛けてみる気になったのである。

 まずは、1995年にやったように、回路図と基板パターンを照合した。

 
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 基本的に致命的な矛盾は見いだせなかったので全く問題はないのだが、回路図には記載がないものの、送信増幅段の2SK241にALCを加える端子が基板パターンに設けられていたり、TA7320Pの1番ピン周辺に、回路図にはないパターンが追加されている部分があることに気づいた。これらは木下OMの試行錯誤・創意工夫の現れであろうが、今回は回路図通りのパターンになるように、それらのパターンは全て省略してしまった。一方、送信アンプの負荷タンク回路の電源供給点を、中点タップとコールドエンドのどちらにでもできるように、パスコンの位置を動かして調整した。また、マイク入力端子にパスコンを接続した。 

照合が完了し、上記のような変更を加えることにして、次に記事中の基板パターンを140%に拡大コピーして、トレーシングペーパーを貼り付け、トレースした。

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 写真は、ホットエンドをトレースし終わる寸前の状態である。この後は、アースパターの輪郭を描き、アースを塗りつぶしていく作業となる。

 1995年に2代目ジェネレーター基板を作製する際にやった作業である。今回、大変懐かしく思いながらこの作業を実施している。なお、ダブルVXOは必要ないので、トランスバーター基板にはJA6XI和田OMが示された基板を組み合わせて使うのが良さそうである。この基板は、DBMの後にバンドパスフィルターが入る設計となっており、また、144Mcトランシーバーで良好に動作することを確かめてあるので、安心でもある。当時作製した感光マスクを現在も所持しているので、基板を簡単に作れることも大きなメリットである。

 木下OMのジェネレーターではラダー型フィルターが採用されており、個別の水晶8個をハンダ付けするパターン設計である。50Mcのトランシーバーにするためには、IF周波数が高い方がスプリアスの点で圧倒的に有利となる。サトー電気から仕入れた手持ち水晶のうち、この目的に使えそうなのが12.960Mcの、HC48USとほぼ同じ規格の表面実装用格安水晶である。この手持ち品を活用するべきであろうが、50Mc用のジェネレーターに特化するのであれば、新たに仕入れないと行けないことがネックではあるが、14.318McのHC49U水晶がより適切であろう。

 死蔵していたTA7320とμPC575C2が日の目を見る日が近いかもしれない。

by fujichromeR100 | 2010-07-16 13:13 | 熊本シティースタンダード | Comments(4)

Commented by emu_99 at 2010-07-16 18:18 x
uPC575C2は懐かしいですね。
30年以上前、小沢でuPC575C2を使ったオーディオアンプのキットを買った事があります。
その前はuPC20Cを使いましたが、周辺のCRが少なくなったと感心したものです(笑

LM380やLM386が出てからは、全く使わなくなってしまいましたね。
Commented by fujichromeR100 at 2010-07-18 06:42
JH1JYY OM、コメントありがとうございます。μPC575C2は、LM386よりもパワーがあるので、移動運用で外で使うトランシーバーに使うと、よく聞こえてFBだ、と書いていた人がいました。

LM386と違って、フィンのような電極があり、この基板加工が一手間余計に掛かることから、今まで使うことなく死蔵してしまっていました。周辺パーツも多いとはいえ、一度基板化してしまえばAFアンプユニットとして使えるのですが、あの細長い穴が気持ちの上でネックになっていました(笑)。

モノ自体は未だにサトー電気の広告に掲載されていますね。LM386ではなく、敢てこのICを買おうという人は、あまりいないように思えますが。古い無線機の補修用途はあるのでしょうが。
Commented by emu_99 at 2010-07-18 09:50 x
μPC575C2は、熱をTAB(フィン)を介して放熱するので、グランド面積は広い方が良いみたいですね。

若松ではIC単体で168円、基板付のキットは630円です。
http://www.wakamatsu-net.com/cgibin/biz/pageshousai.cgi?code=28030028&CATE=2803

50MHzのトランシーバーでは、IC-502、FT-690などにも使われてますね。
その他には、ミズホのSSBジェネレーターキット SG-9にも使われてます。

基板の長穴加工は、やはり丸穴を連ねて最後はヤスリで仕上げでしょうか?

自分も基板(ワンボードのSSBトランシーバー)を作成してまして、昨日穴あけが終わったところです。

これから基板を磨き、乾いたらフラックスを塗って完成です。
Commented by fujichromeR100 at 2010-07-29 11:46
ワンボードとは大胆ですね。HJ#44に掲載されていた50/144McポケッタブルSSBトランシーバーは、当然の事ながら、ワンボードでしたが。

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