2SC1975、2SC1909、3SK35-小澤電気商会
2011年 02月 01日
手元に残っている1967年の「初歩のラジオ」にも、小澤電気商会の広告が出ている。いうまでもなく、そのころの主力は真空管であり、半導体は少しリストされているだけである。オヤジに買って貰った「少年ラジオ技術者ハンドブック」にナショナルのDシリーズ電池管の記事があり、入手したいと思ったが、小澤電気商会にDシリーズのタマはなかった。しかし、広告にはアメリカンシリーズの1T4-SF、1U5-SF、3S4-SFがリストされていたので、買って貰った。昭和40年代中頃のことである。その時のタマを今でも大切に保管している。
初歩のラジオに掲載されていた小澤電気商会の広告に、ある時期「芸能人」のコメントが載っていた。いくら考えても名前が思い出せず、家の小屋の2階にある初歩のラジオの広告をみてみたが、その広告を探し出すことはできなかった。今でも覚えているそのコメントの一部は、「・・・・私も家(小沢電気商会)では手伝いをしています。」というものである。去年、出張の時に小澤電気商会でこの話をしたら「その話を知っているヒトは少ないですよ」ということであった。当時の広告では、東京都品川区大井が本社になっていて、ニューアキハバラセンターの店舗は営業所となっていたように記憶している。その芸能人の方は、どこで手伝いをされていたのであろうか。去年の話では、お元気だということであったが。
東京ラジオデパートに何軒もあった真空管販売店は、1軒を除いて全て廃業してしまった。昭和49年1月の初めての秋葉原訪問で、悲願だった1N3を入手することができた、懐かしい吉野電気、「魅惑の真空管アンプ」で浅野 勇氏が紹介し、「3極管アンプの製作」で新 忠篤氏が紹介していた「太平洋」、1980年初頭にRCAの新品箱入り82(水銀整流管)が店頭にあった店等々。これらは全て、最早当時を知るヒトの想い出の中にしか存在しないが、小澤電気商会だけは、ニューアキハバラセンターの中に、活気のあった「昭和の秋葉原」の雰囲気をそのまま体現しながら現存する、唯一無二の貴重な店である。ラジオ自作黄金期から現在まで続く歴史を背景に、当時の雰囲気を現在にそのまま残しながら、今となっては貴重な部品も現有・販売している管球・半導体販売店は、秋葉原の中で他に知らない。
先週、ようやく完成したバラック送信機で交信できた1エリアのOMも、「小澤電気がなくなってしまったら、秋葉原に行っても行く店がなくなっちゃいますよ」とコメントされていた。偽らざる気持ちであろう。残念の極みとしか言いようがない。
去年、出張の際に訪ねたとき、CB用の石を所望したところ「2SC1975」を勧められて買ってみた。調べてみると、松下の石で、使えそうな石である。HFのプッシュプル5Wリニアには十分であろう。50Mcでも使えるかもしれない。手頃な値段で在庫数も多そうだったことがうれしかった。また、デュアルゲートMOS FETの在庫を尋ねたところ、3SK35が手頃な値段であることがわかったので買ってきた。この3SK35は今7Mcの交信に使っている高一中二受信機に使った。1995年頃は普通に手に入っていた3SK121などのガリヒ素FETもいつの間にか手に入らなくなっていたので、聞いてみたところ、3SK121と似たような3SK113が店頭にたくさんあったのでこれも買ったのである。手頃な値段であった。
歴史ある店のために、ゲルマトランジスターは数多く在庫している貴重な店であり、これまで多くの品種を手に入れた。2SB54、2SB56などギターエフェクターに使われた特定の石は、さすがに全部買われて無くなったとのことであったが。
先週、久しぶりに電話をして2SC1975と3SK35を10個ずつ注文した。ついでに2SC1909の在庫を尋ねたところ、5個あるとのことだったので、5個全部送ってもらうことにした。2SC1909は特別サービス価格にしてくれた。全部合計するとそれなりの値段になったが、快く後払いとして品物を先に発送した頂いたのである。これが昨日、配達された。
子供の頃、オヤジに現金書留を書いて貰い、電池管の注文書を送ってから、品物が配達されるまでは待ち遠しかった。真空管が入ったハコが配達されたときは、小躍りして喜んだことを覚えている。昨日、秋葉原から届いた2SC1909、2SC1975、3SK35が入った茶封筒を手にしたとき、そのようなことが心をよぎったのである。
(今、写真を眺めながら3SK35を数えたら、10個注文したのに11個あることに気づいた。深謝である・・。)
by fujichromer100 | 2011-02-01 09:21 | 部品 | Comments(8)
それにしても、あの貴重な在庫がどうなってしまうのか、本当に閉店は残念です。こちらも、手元に置きたいものはたくさんあるのですが、通販では現物を確認できないことが難点です。ゲルマに関しては、RF用とメサ型VHF用、それから教えていただきました、RFで大き目のパワーを扱えるタイプと一応揃いましたので、当分遊べますが、あの店に代わるような店はありませんので、不安を払拭することはできません。
本当に、昭和の秋葉原がまたひとつ無くなる、という寂寥感にとらわれます。
今後とも、よろしくお願いします。
秋葉原は2010年以降、急激に電気の街のイメージが薄くなってしまったように感じます。2000年代まではまだ元気があったように感じるのですが。90年代はまだ昔の続きそのものだったように思います。小澤電気や国際だけでなく、ジャンク通りの鈴商まで店を閉じてしまい、ラジデパの中でも真空管販売店の太平洋、小物部品のアイコ-など老舗の店が随分撤退しました。小林電気、山王電子、斉藤電気商会、シオヤ電気などはまだ昔とおりにやっていますね。QRVされましたら是非一度交信して頂ければと思います。