JA2NKD式RD15HVF1シングル広帯域RF電力増幅標準回路
2012年 12月 08日
数少ない使用例の中でも回路の判りやすさと性能の高さが突出していたJA2NKD OMの回路である。この回路について、JA2NKD OMが最新の実験結果をまとめて報告された。
http://ja2nkd.blog.so-net.ne.jp/archive/c35368363-1
出力回路、RFC、入力回路、アイドリング電流など、この回路を構成する要素のほぼ全てについて実験的な検討が行われ、最適化が行われた。その結果、HFから50Mcまで使用可能なワイドバンドアンプ回路が提示されたのである。
記事中に示されたこの回路の性能は素晴らしい。50Mcにおいても高感度が維持され、最大出力は10Wに達し、5W強までは入出力の直線性が完全に成立している。見る限り、2SC1971によるワイドバンドアンプの性能を遙かに凌駕している。
性能の素晴らしさに加え、我々になじみが深いトランジスターによる回路と殆ど同じ回路なので、自作するのも容易であり、取り付きやすい。トランジスター回路との違いは、入力回路に直列にインダクターを挿入することと、アイドリング電流を多めに流すことぐらいであろう。
この回路の出現により、2SC1971等のディスコントランジスターの探索と確保の苦労から完全に解放されることになろう。「JA2NKD式RD15HVF1シングル広帯域RF電力増幅標準回路」と称することが出来るほどの普遍性を持った回路であろうと思われる。
なお、トランジスター式のワイドバンドアンプが自作マニアにこれほどまでに普及した理由は、トロイダルコアー活用百科(トロ活)に詳細なデータが報告され、その内容がアマチュアにも理解し易かったことと併せて、JA1AYO 丹羽OMがCQ誌で応用例を発表されたことであろうと思われる。
これに対して、この三菱の高周波電力増幅用FETについては、トロ活に該当する解説書が存在しないため、トランジスターによる回路との違い等に関する、アマチュアにも判りやすい解説がないことに加えて、JA1AYO丹羽OMが発表されたような使用実例が乏しいことが、自作マニアへの普及を妨げていたように思われる。
JA2NKD OMのご報告は、この壁を打破する素晴らしい先例となろう。私が検討しようと考えていたことは全てOMにより検討され、その結果がまとまって報告されているので、自分で実験する必要は無くなってしまった。エッチングした実験用基板で早速、OMの回路に従い、21Mc送信機に使う実用品を組み立てることにする。
by FujichromeR100 | 2012-12-08 13:11 | JA2NKD式RD15HVF1 リニア | Comments(0)