金田式DCアンプ - FET選別とhFE測定
2015年 06月 21日
ウイリアムス・ヒロコの「if」はアコースティックギター1本の伴奏のみでスタジオ録音したとのことである。このアルバムは早速手に入れ、車の中で聞いている。「if」の他に、「you must belive in spring」も素晴らしい。
久々に良い音楽と出合ったので、良い音で音楽を聴いてみたくなった。
これまで、オーディオアンプとしては高校生のときの2A3シングルステレオ、UX12Aパラプッシュステレオ、KT88 3結プッシュステレオを作ったが、全て現存していない。大学生の時にはRCA250プッシュプルモノラルを2台組み立て、これは現存しているがRCA250を4本使うのも抵抗感がある。
1990年代に入ってから、Antique Radio Classifiedに出した「求む」の3行広告に手紙をくれたカナダのヒトから運よく手に入れた1950年代のWE300Bを使用してシングルステレオアンプを組み立てたが、知り合いの別荘に置いてあり直ぐには手元にもってくることができない。
1990年代にはさらに、6GA4プッシュプルアンプの面影を求めて、6AN8-6CK4アルテック型プッシュプルアンプモノラルを2台組み立て、さらに、6C6-76-42(3結)プッシュアルテック型モノラルも2台組み立てた。
1990年代に組み立てたこれらの真空管アンプは全て現存している。
しかし、1990年代に挑戦した金田式オールバッテリーDCアンプは正常な動作に持ち込むことが出来ず、「置き忘れ」のままとなっているである。
この金田式DCアンプは生まれて初めて組み立ててみた半導体式アンプであった。金田式DCアンプは1985年頃から電池で動作させるようになった。これにより、「手に負えなくなった」として金田式DCアンプに見切りをつけたマニアが多かったようである。
無線と実験の1987年10月号に掲載された金田式No.99アンプは、単一乾電池を直列に使用して+と-電源とするDCアンプは手軽に感じて、組み立ててみたのである。一応鳴ったのだが、片方のアンプの動作が異常で2SA606か2SC959かが異常に発熱し、音も刺激的で異常であった。が、当時はその原因を突き止めてトラブルシューティングすることが出来るほどトランジスター回路を理解していなかったので、そのまま「置き忘れ」となってしまった。
音楽を聴きたくなって頭に浮かんだのは、この金田式DCアンプの製作である。当時参考にした記事が載った無線と実験は紛失してしまったので、何か適当な記事はないかと手元に残っている無線と実験のバックナンバーを調べたところ、1986年6月号にGOA式の±15V乾電池電源のB級9Wアンプの記事が掲載されていた。
DCアンプシリーズNo.91である。1980年代に、札幌のジャンク屋で2SC959、2SA606、2SD188と2SA627のペアーが付いているジャンク基板を手に入れて、はずしておいた。これらは金田式DCアンプに欠かせない石であるが、現在では入手難である。
1990年代に入ってからは神田万世橋の近くにあった「オテック」から2SA606と2SC959のhFE測定ペアー品を買っておいた。
今日は、以前組み立てたDCアンプの残骸をバラしてこれらの石を全て取り外し、手持ちの石とあわせて全てhFEを測定した。また、どこから手に入れたのか忘れたが、モトローラの2N3055/MJ2955のペアー品もhFEを測定してみた。
オリジナルでは初段差動増幅にはデュアルFETのソリトロンFD1840を使用しているが、手持ちがあった20本近くの「2SK170」のIDSSを測定して、選別した。
回路図である。改めてみてみると、トランジスター1石の定電流回路を組み込んだ抵抗負荷FET差動増幅の出力を、カレントミラーで電流を制御したカスコード差動増幅回路で増幅し、インバーテッドダーリントン接続出力段をドライブする回路である。
今回は主要な半導体には指定の品を使うが、もともとトランジスターというのは最大定格と最高使用周波数が同程度であれば互換であることを体験している。この辺が真空管とは違うところである。このため、手に入りやすい石を使って金田式の回路に従ってDCアンプを組み立てるとどうなるかという興味も沸いている。
Vcboは劣るが、2SC959の代わりに汎用の2SC2120、2SA606の変わりに2SA950、出力段にはサトー電気で手に入る2SD843とグリーンモールド2SB753のペアー、初段には2SK30ATM、定電流とバイアス用には汎用の2SC1815を使用してもアンプは動作すると思うが、著者がいうところの、「プラスチックモールドで音が死んでしまう」石を使った場合に、一体どれ程「悪い音」になるのだろうかという興味もつきない。
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by FujichromeR100 | 2015-06-21 16:07 | オ-ディオ・金田式DCアンプ | Comments(11)
その上需給の関係で部品が高い。私も、もどきで製作したことがありますがしまい込んでいます。
また、プラスマイナスの安定化電源も応答速度などを考えFET等を多用したかなり凝ったものを作りましたね。電源だけでかなりの時間を費やした覚えがあります。
一番の苦労は、どうしても電位差が発生してしまうことでバランスや配置まで試行錯誤しました。まだ回路技術が未熟な時なのでいたし方ありませんでしたが。
私の感想では、音的にはやはり真空管のほうが落ち着きます。ある意味では無線のほうが易しい気もします。
組み立てられましたDCアンプ、如何でしたでしょうか。金田式は、回路的には巧く考えられていると思いますが、HPで見た、あるマニアの作例では10KHzの方形波にリンギングが入っていました。カットアンドトライで高域を補正したりする必要があるのかもしれません。回路図には補正用の小容量コンデンサーが示されてはいますが。
組み立てられましたDCアンプの音の印象、使い心地など教えていただければ大変参考になります。
さすがJA2NKD OM、DCアンプにも取り組まれていたのですね。回路はオリジナルでしょうか。金田式でもかなり凝った安定化電源回路を使用していましたが、アンプの発振と安定化電源の発振で手こずる場合が多いというのを読んだことがあります。
組み立てようとしている1986年の回路では、安定化電源を使わずに、乾電池を10個ずつ使って±15Vを供給するという、ちょっと信じられないような方式となっています。
その後、1987年10月号では差動増幅回路部分にのみ超高速プッシュプルレギュレーター電源回路を使用し(乾電池15個で±30Vを供給し、±18Vを出力)、ダーリントン部分には乾電池20個ずつで±30Vを供給する方式になっています。
1990年代に組み立てたオール電池式金田アンプ(もどき)でも、初段/次段の差動増幅回路と、出力段に別々の±電池セットから電源を供給していました。
もう方チャンネルは普通に鳴ったように記憶しています。ただ、方形波テストなどしていなかったので、正常に動作していたかどうかは判りません。
当時も初段差動増幅用には指定のデュアルFETではなく、2SK30Aを選別して使い、2段目の差動増幅回路とカレントミラー回路のトランジスターはそれぞれ、薄いマイカ板を介してエポキシで接着して熱結合させました。今日は、それらも全部はずしてバラしましたが。
OMのスピーカーはどのようなものでしたでしょうか。私のはダイヤトーンP610とパイオニアPE16ですので、オーディオで音楽性を追及するレベルではありません(笑)。
1990年代に仕立てたのは、グレースF8-LとデンオンDL103にタムラのMCトランス、マッキントッシュMC22のイコライザー回路のみを組み立てたプリアンプに、6CK4 PPと42(3結)プッシュプルでP610を鳴らすというシステムです。何しろ6畳のガラクタ部屋なので、ロクハンでレコードやCDを楽しむのが丁度良い状況でした。
測定器があれば、結果を客観的に評価できる無線機の方がわかりやすいのは確かだと思います。オーディオの場合、方形波応答や歪率測定以外の、肝心の「音」については定量的な評価ができないことが問題と思います。
回路は金田式ではなく、何かの雑誌にあったDCアンプでした。まだ当時金田式は知りませんでした。
電源回路では応答速度を早くすることと出力インピーダンスを下げる必要があり至難の業でした。トランスも磁気漏れの少ないトロイダルがいいとか。LOWレベル部分は、密閉型磁気シールドトランス パワー部分はトロイダルコアトランスで作りました。
スピーカーは実家に三菱のフロアータイプがありましたが、自分用には三菱の密閉型ブックシェルフを使っています。(結婚したとき買って未だに使っていますが、エッジがくたくたになっていると思います)
真空管アンプと密閉型ブックシェルフスピーカーでもっぱらJASSを聞いています。パーカッション等は密閉型のほうが気に入っています。
AGCでもデータだけではなく最終的には耳が一番重要です。オーディオも耳ですね。JBLのスタジオモニタが欲しかったですが当時1本50万以上で断念しました。考えたら其れを聞く部屋がありませんね。
配線や部品にやかましかった理由の推測
20年前だと素子も抵抗もキャパシタも微妙なリアクタンスがあったようです。再現性のためにはやかましくいわざるをえなかたtのでしょう。2015年現在でも配線技術は重要ですね。「トランジスタ技術 」2015年5月号135頁以下の脇澤和夫氏の記事でも1石アンプでもブレッドボードでは十分な性能をひきだせないことを指摘されています。lこの号は「私の部品箱」がJ310と1970年代からハムをはじめたわたしにとってはなつかしい部品があつかわれていました。
ダイアトーンのスピーカーは名器の誉れ高かったですね。JBLのスタジオモニターは4343ですか?私は今でもアルテックの604が欲しいのですが、狭い部屋に置く場所がありません。ハコはオンケン型のボックスをタテマツ音工に注文して、、、という夢は遠い夢のまま終わりそうです。25日ですか。是非楽しまれてください。向こうは爽やかなです。
そうですね。製作記事に掲載されている周波数特性をみても、非常に高域までフラットです。これを記事に記載されたとおりの位相補正用コンデンサーのみでソックリ同じに再現させるためには、音の問題の他に、全てを指定通りに組み立てることは重要だったことは想像に難くありません。
金田式は組み立てると発振との戦いになりがちと読んだことがあります。今参考にしているGOA式アンプでも1986年6月号の記事では差動増幅の出力部分に10pFの補正用コンデンサーが入っているのみですが、1987年10月号の記事では差動増幅出力だけではなく、出力ダーリントン2SC959と2SA606のB-Cにも補正コンデンサーが接続されていまして、カットアンドトライで周波数特性を補正、もしくは発振を止めていることが伺われます。
超高域発振を止めたり、10KHzの方形波にリンギングが出ないようにカットアンドトライすることは不可避と予想しています。
「私の部品箱」はJA9TTT加藤OM執筆の記事ではなかったでしょうか?2SK125が手に入りにくくなってきたので、比較的最近、J310を20個ほど手に入れた経緯があります。メタルカン製のU310(?)を探しましたが、これは国外で少数売られているのを見つけましたが、異常に高価で入手は断念しました。J310は当時、50メガのプリアンプか何かに人気があったようですね。
2年先輩が AB級120W,3年先輩がA級50W.それを大教室に持ち込んで聞き比べた事がありました.1979年6月,私が大学に入学した年の事です.どちらが優れていると言う問題ではありませんでしたが,明らかに傾向の違う音だと感じました.
今は,1981年1月発表の AB級180W を製作すべく準備中です.部品はほぼ揃っているのですが,なかなか大掛かりな工作(非常に重いトロイダルトランス等)が待ち構えて居りますから,大変です.