自作合法CBトランシーバーの技適認証取得プロジェクトーエピローグ   

2018年 07月 11日

無事に技適認証を取得できた。

5月に受信機が完成した後に、合法CB各局のEスポ信号を受信するためにしばしば訪れていた海浜公園を訪れた。

最初は中々Eスポ信号が聞こえなかったのだが、5月28日に初めてEスポ信号が大QRMしながらひしめき合って聞こえ、ビックリした現場である。

トランシーバーに12Vバッテリーを接続し、ロッドアンテナを伸ばしてみた。
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CB各局が「チックタック」と呼んでいる信号が強力に聞こえる中、CQを出してみたところ、運良くコールしてくれた局があり、Eスポ交信が成立した。その翌日の昼過ぎにも、数局とEスポ交信を楽しむことが出来た。

確かに、SSGによる測定結果が示すように、受信感度は局発レベルを下げる以前より高くなったように感じた。ロッドアンテナの送信マッチングも無難にとれているようである。

ロッドアンテナにどのようにしてマッチングを取れば良いのか、当初全くわからなかった。JQ1SRN OMは、29MHz FM用TRCVRである「デカテン」を自作され、大変なご苦労の末にロッドアンテナのマッチング方法を確立された。

そのマッチング方法をJQ1SRN OMにご教示頂いたことにより、このトランシーバーの組み立てが実現したといえる。

アマチュア無線機の自作においても、このトランシーバーの自作においても、トランシーバーを組み立てた後に「調整」を行わないと無線機は完成しない。

受信部を調整するためには、標準信号発生器(SSG)の出力コードをトランシーバーのMコネクターに接続しないと、各同調回路の調整、AGC回路の調整、Sメーターの調整、正確な感度の確認が出来ない。

送信部を調整するためには、トランシーバーのMコネクターに接続した同軸を通過型電力系を経由してダミーロードに接続し、ダミーロードの両端にオシロスコープの電極を接続しないといけない。

このように、自作トランシーバーの調整にはMコネクターが必須である。

従って、今回技適申請にあたり、事前にTELECに測定用のMコネクターをつけたまま送付して良いのかどうか、確認をしておいた。その結果、測定終了後に直ちに撤去し、撤去後の写真を送るようにと指導された。CBに外部アンテナが使えないことは常識であり、この指導は当然のことである。試験終了後のトランシーバーからは、直ちに測定器接続用としての役割を終えたコネクターを撤去した。

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アマチュア無線の世界は、大正時代に無線機を自作することから始まった。従って、現在でもアマチュア無線の世界では「自作」が一つのカテゴリーを形成し、実に大勢の自作派が無線機の自作を楽しんでいる。

自作同好会、研究会も多数存在し、それぞれがノウハウを交換しながら実に仲良く楽しく自作を楽しんでいる。

一方、今回TELECに問い合わせるまで、自分自身も自作CB無線機が存在し得ることを全く知らなかったし、知られてもいなかったようである。このためなのか、CBの世界では、自作とはごく一部の非常に特別なマニアだけが行うものという認識が一般的らしいことを感じた。また、強烈なコネクターアレルギーとも呼ぶべき感覚が存在することも初めて知った。合法CBには「ロッドアンテナ2m以内」という構造要件があり、外部アンテナを接続できないことは「常識」である。アマチュア無線の自作派の感覚とは全く異なり、自作無線機には調整のための測定器を接続することが必須という概念自体が希薄なために、自作無線機には調整用Mコネクターが必須であることが認識されていないことを目の当たりにしたのである。

アマチュア無線と異なり、アンテナを架設することなく、ロッドアンテナをスルスルと伸ばすことにより、いつでもどこでも運用できることがCBの最大の魅力である。また、ロッドアンテナに如何にしてマッチングを取り、出来るだけ効率よく電波を送信できるように調整するかという点にも、技術的な興味が尽きない。

今回、このCBトランシーバーの製作・調整で得た、ロッドアンテナに波を乗せるノウハウは、直ちに29MHz FMの可搬式トランシーバーや、50MHz AM可搬式トランシーバーのロッドアンテナ調整法に応用可能である。これは、今回初めて体験・習得したノウハウである。

アマチュア無線の免許を取得した1979年当時、AMは既に過去のモードであった。真空管の自作時代にはAMが一般的であったのだが、1960年代の末期に半導体の一般化とSSBの台頭により、AMは顧みられなくなった。

アマチュア無線の免許を取得した当時から、真空管を使う自作送信機で交信したいと考え続け、そのためにはAMが最適と考えていたのだが、交信相手が存在しなかった。

7メガバンドが拡張されたことを契機として、「AMルネッサンス」が起こり、7.195MHzを筆頭にHFでもAM信号を耳にすることが増えた。AM愛好家としては、非常にうれしい展開である。

そのAMが使われているのがCBなのである。AM愛好家としては、この点にも非常に魅力を感じる。

0.5W QRPp AMというスペックの送信機は、半導体で容易に実現できることから、アマチュア無線の自作派であれば、誰でも容易に組み立て可能である。とりわけ、50MHz AMの送信機を組み立てて交信しているOMにとっては、周波数が約1/2であることにより非常に作り易いはずである。

送信回路の選択肢は非常に多い。

今回は3rdオーバートーン水晶発振回路の出力を、JA2NKD OMが発表されたRD06HVF-1リニアで増幅し、このファイナルにアナログ直列変調回路でドレイン変調を掛ける方式とした。アナログ変調回路は、JR1BPR OMが発表された2N3055 4パラのアナログ直列変調回路を簡略化して変調用のTRを1石とした回路である。これは、たまたま去年実験した基板一式がすぐに使える状態で遊んでいたからである。回路図が示すように、非常にシンプルな構成である。

この他の終段大電力変調(QRPpではあるが)回路としては、ひずみや直線性は劣るものの、旧来の違法CB機にも使用されていた、変調トランスを使いドライバーとファイナルTRにコレクタ変調を掛ける回路も使用可能であろう。また、FCZ研究所が多用していた、LM386によりコレクタ変調を掛ける回路も出力3Wまで使用できるので、余裕をもって使えるであろう。

低電力変調によりAM波を生成し、リニアー段によりキャリアー0.5Wに増幅する構成でも多彩な回路が使用可能である。

低電力変調回路としては、MC1496やNJM2594などのバラモジICを使用する回路、デュアルゲートゲートMOS FETの第2ゲートに変調電圧を印加する回路(JA9CDE OM)、3SK85を3パラにしてドレイン変調を掛ける回路(旧QRPハンドブック)、DBMを使用する低歪AM Exciter回路(Experimental Methods in RF Design, ARRL)、同じくDBMを使用する回路(トロ活)等、選択肢は非常に多い。

低電力変調により生成したAM波を増幅するリニアアンプは、キャリアー0.5WのAMを100%変調した際のPEP電力である2Wを歪み無く増幅できるものであれば、何でも良い。2SC2078や昔出回った2SC1945、1969等のTRを使う、最大5W出力のワイドバンドリニアアンプを軽く使う方法や、今回使用したRD06HVF-1リニアアンプ(JA2NKD OM)、あるいはこれらをプッシュプルとして歪を低減する設計とするなど、選択肢は多い。

これらの回路は、アマチュア無線で自作を楽しんでいるマニアであれば、いずれも容易に組み立て・調整可能なものばかりである。

問題と考えていた新スプリアス規格については、高調波は定K型LPFでクリアー可能であり、近傍については、TA2011のALC機能を利用して、試験条件でも過変調とならないように処置することにより、十分クリアー可能なことがわかった。

奥が深いのは、むしろ受信回路である。今回は、IF 455KHzの高一中二シングルスーパーという、最も簡易な回路とし、フィルターにはBW 6KHzのムラタセラミックフィルターを使用した。増幅素子には、秋月で売っている3SK291を使用した。3SK291は、エンハンスメントモード、SMTのデュアルゲートMOS FETであり、PSN-DC受信機であるminiR2のRF増幅回路に試しに使用して、J310カスコード回路よりもゲインが高いことを確認していた。

今回の受信機では、SSGからのAM30%変調でー10dBμの信号が余裕で聞こえた。これは、高一中二AM受信機としては極めて高感度といえる。しかし、実際に受信してみると、この受信機には23MHz台の信号によるイメージ妨害を強く受けるという問題点があることがわかった。

これを解決するためにはダブルスーパーとすることが王道であるが、ダブルスーパーではS/N比が劣化するなどの問題も派生するので、IFを12MHz程度としたハイフレIFのシングルスーパーとするのが無難と思われる。

5月の終わりから実際に合法CBのEスポ信号受信してみて、違法局によるサイドからの被りが深刻な妨害となることがわかったので、フィルターは12MHzのラダー型とし、バリキャップを使用して可変帯域とすると、了解度が向上するのではと期待される。強力な違法CBの妨害の間隙を縫ってQRPpの信号を受信しないといけない合法CB受信機では、可変帯域機能を搭載することは有用であろう。バリキャップにより可変帯域としたラダーフィルターは、JA6BI OMが1984年のHJで発表されている。

このような受信回路の実験と検討は、今後の課題である。

なお、AM送信機の調整にはアッテネーター付き低周波発振器と、オシロスコープが必須である。スペアナはなくても大丈夫であろう。

現在、アマチュア無線の交信に使っているリグは全て自作品であり、直近の自作送信機は、「第40送信機」である。自作リグはTSSにより保証認定されるシステムが確立しており、値段もアマチュアに手頃である。アマチュア無線で数多くの自作派が今でも自作を楽しむことが出来るのは、この保証認定制度のおかげである。

今回、自作送信機が初めて厳密な測定を受けたことは、非常に良い経験となった。

Eスポシーズンは8月半ばで一段落するのが通例である。これから凡そ一ヶ月、28MHz AMと併せてスリリングなAM QSOを楽しめそうである。

エピローグ其の二に続く
https://fujichrome.exblog.jp/29948329/

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by FujichromeR100 | 2018-07-11 20:17 | 合法CB | Comments(0)

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