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西無線研究所の27MHzハンディーCBトランシーバーのファイナル回路   

2018年 11月 21日

西無線研究所が27MHzハンディーCBトランシーバー、NTS111を開発中である。

http://www.nishimusen.co.jp/nts111/nts111.htm

HPには、この試作機のファイナル回路が公開されている。
西無線研究所の27MHzハンディーCBトランシーバーのファイナル回路_f0205744_20433437.jpg
2SC3356と2SK4037の2段増幅回路である。MOD端子に2Vを印加し、入力に27MHzの-10dbmを加えると0.5Wが得られると記されている。これに直列変調を書けた際のデータも示されており、低歪でFBである。

現用の自作CB無線機のファイナルにはRD06HVF-1を使用し、アマチュア無線の送信機で使ってきたのと同じ、広帯域増幅回路とした。これに、アナログ直列変調回路を接続してAM変調を掛けている。これで特に不自由なく交信しているのだが、RD06HVF-1は非常に大飯食らいで送信時に0.65Aもドレイン電流が流れる。

西無線研究所の回路ではわずか2Vで0.5Wが得られることに驚いた。一体、どうすればそんなことができるのか、非常に興味を覚えた。

公表されている回路はファイナルとLPF、送受切り替え回路も含まれており、一見内容を理解しにくい。そこで、2SC3356と2SK4037の部分だけを書き直してみた。
西無線研究所の27MHzハンディーCBトランシーバーのファイナル回路_f0205744_21100914.png
改めて眺めると、2SC3356のコレクターには0.1μHのインダクターと330pFの並列共振回路が接続されており、共振周波数を計算すると27Mcであることがわかった。2SC3356は同調アンプだったのである。

2SK4037のドレイン回路をよくみると、LCマッチング回路となっているようである。回路図に示されている5mmΦ4Tのコイルのインダクタンスを計算すると、0.08μHと求まった。これと、アンテナ側のインピーダンス50Ω、周波数が27MHzからCの値とドレイン側のインピーダンスを計算すると、400pFと4Ωと求められた。出力電力は、Po=Vcc^2/(2XRL)の式で求められる。Vccを2V、RLを4Ωとして計算すると、0.5Wとなった。HPに記載されているとおりである。

これにより、このファイナル回路が凡そ理解できた。

この回路を試作することを考えると、電源電圧6Vが色々と都合が良い。その場合、無変調時の直列変調器の出力電圧は約3Vとなる。このときの出力は0.5Wなので、RLは8Ωとなる。この8Ωと50Ωを整合するためのLマッチ回路の定数を計算したところ、L=1.07μH(5Φ 5T)、C=270pFとなった(回路図中、Lマッチ回路の下の回路)。

実際の回路では、Cは220pFの固定チップコンにフィルムトリマーを並列に接続して調整可能とするのが良いであろう。

この回路は2段の同調アンプなので、これまで使い慣れた広帯域増幅回路と異なり、発振が心配である。しかし、2SC3356の負荷共振回路は極端なLow L、High Cの設計となっており、これによりインピーダンスが低くなるので発振防止になると考えられる。

なお、2SC3356と動作点はB級もしくはB級よりのAB級、2SK4037の動作点はC級と考えられる。

回路の内容が凡そ判明したので、自分で組み立てて実験をしてみようと考え、AliExpressに2SC3356と2SK4037を発注した。また、必要なチップ部品をリストアップした。DA204Uダイオードは、PREパーツで手頃な値段で売られていることもみつけた。

ボチボチ部品を集めて試作してみる予定である。

by FujichromeR100 | 2018-11-21 21:29 | 合法CB | Comments(0)

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