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14MHz FT8用フルサイズバーチカルの建設と試用結果   

2020年 12月 05日

6146パラリニアが50W出るようになり、14MHz FT8のリグは送信機、受信機、リニアと全部自作で一通り完成した。
https://fujichrome.exblog.jp/32008196/

しかし、アンテナが貧弱な軒先DPなのでDXを狙うことには限界がある。タワーもなく屋根馬もあげられない非常に限られた条件下で少しでもDX向けのアンテナをと考えると、選択肢は打ち上げ角の低いバーチカルしかない。

というわけで、14MHz用のバーチカルを建てることにして材料を集めることにした。

主エレメント用の支柱は4.5mのグラスロッドにすることにした。オンラインショップを物色すると安価なグラスロッドが見つかったのですかさず注文した。
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エレメントにはいつも使っている1.6mm IV線を使うこととし、ホームセンターで5m×5を仕入れてきた。
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ラジアル線用の碍子は卵碍子が理想的ではあるが、手配が大変なのでホームセンターで手に入る塩ビ継ぎ手パイプを使用することにした。
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写真の小さいパイプである。長さは4cm程度である。両端にIV線とステーを通す穴をハンドドリルで開けた。

構造のイメージである。
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a~dがラジアルで長さ約5m、eがメインエレメントで釣竿の長さが4.5mである。これらの線材を波型碍子でサポートする。メインエレメントは約5m必要なところ4.5m弱にならざるを得ないので、ローデイングコイルを挿入する必要があるだろうと考えた。

調整法もイメージした。

対向するラジアルaとbを同軸に接続し、SSGとインピーダンスメーターで共振点を確認しながら14.1MHzに共振するように長さを調整する。aとbが14.1MHzに共振したら同軸をエレメントcとdに接続し、同様の作業で14.1MHzに共振させる。

その後、a、b、c、dを全て接続してから同軸の外皮をこれに接続し、芯線をメインエレメントeに接続して14.1MHzに共振するようにローディングコイルのインダクタンスを調整する。

早速、イメージ図のように各エレメントを接続して全体を組み立てた。
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組み立ててみると、メインエレメントは、写真のように、給電点でたるませると5mの長さが確保できることがわかったので、ローディングコイルは使わずにエレメントの長さ調整だけで調整することにした。

ラジアルの長さを調整し終わり、A~dを接続した状態の給電部である。
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見た目はグチャグチャであるが、DPと違い手が届く高さにあり風による応力がほとんどかからないので長持ちしそうである。

ラジアルの調整が終了し、メインエレメントeの調整を行ってみると、調整が非常にブロードでラクであることがわかった。エレメントを15cm程切り詰めて、14.0MHzがブロードな共振点となった。

-・・・-

調整が終わったところで14MHz FT8にQRVしてみた。時間は15:00である。見える局を片っ端から呼んでみた。
Asiatic Russia
RU9UC
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RA9H
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早速、FBなeQSLが届いた。

European Russia
R8XF
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RA3GK
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eQSLが届いた。無線機の向こう側にはこの人がいたのか、と感慨無量である。

以上の局と無事に交信できた。また、先週軒先DPでは信号が全く見えなかった3D2AG局も見えて、コールバックもあった。
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しかし、残念なことにこちらからレポートを繰り返し送信したにもかかわらず応答はなく、尻切れになってしまった。

また、CQを出していたLZ3CQからも一度応答があったが、これも残念なことに尻切れとなってしまった。
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交信を終えてからeQSLとLoWTにデータをアップロードしていると、FT8を勧めてくれたJR7NKH局から有線が入った。PSK Reporterで確認したところ、OHやヨーロッパ奥地のEAまでも今日は電波が良く飛んでいるというのである。

驚いて、早速、PSK Reporterを確認してみた。
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確かにグレーラインの日中側、北欧のOHやヨーロッパ奥地のEAまでもバーチカルから送信された14MHz FT8 50Wの電波が届いていることが確認できた。先週の軒先DPより相当良くDXに飛ぶようである。

ー・・・-

免許を取った1979年の秋ごろ、ロッドアンテナと塩ビパイプ、銅線で2m FM用GPを自作したことはあったが、HFでバーチカルを立てて運用するのは初めてである。垂直系のアンテナはノイズに弱いので、SSBやCWには使いずらいイメージがあり、これまで使かったことがなかった。しかし、FT8の場合はノイズに強いので、建設が容易で場所もそれ程とらず、打ち上げ角が低いのでDPよりもDX向きであるというバーチカルのメリットを十分に生かせるようである。

バーチカルというと市販の短縮マルチバンドトラップバーチカルが真っ先に思い浮かび、飛ばないというイメージが先行してしまう嫌いがある。しかし、今回建設したフルサイズバーチカルは共振もブロードで調整も難しくはなく、FBであった。ビームを上げることが出来ない場合、FT8についてはフルサイズバーチカルが良い選択肢であろう。

受信機、エキサイター、リニアアンプ、アンテナが全て手作りという14MHz FT8システムが漸く完成した。このセッティングで暫く運用してDXがどの程度楽しめるものか、感触を掴むことにする。

続きはこちら
https://fujichrome.exblog.jp/32047252/




by FujichromeR100 | 2020-12-05 20:08 | FT-8 | Comments(2)

Commented by Kikai kunio at 2020-12-07 14:04 x
大変興味深いです。更に5/8波長の場合はどうかと思ってしまいました。私もいろいろとやりたいのですが、コロナ禍のため。デイサービスも中止となり、介護などがあり時間が取れません。せめてSSTさんの記事を楽しく読ませていただいております。
Commented by FujichromeR100 at 2020-12-12 21:22
コメント、大変ありがとうございます。色々と大変なご様子、当局の89歳になるオヤジも最近記憶が弱くなってきて困った状態です。幸い、どうにかヘルパーさんに食事を作って貰いながら、どうにか1人暮らしを続けてはいますが予断を許しません。。。

5/8λのGPは2mのアンテナとして眼にして依頼、どうやってマッチングを取るのか調べないまま現在に至っていますが、打ち上げ角が低いことに加えてゲインも出てくるので、きっとFBだろうと思います。。

今日12月12日、ようやくJTDXとPCの設定の問題が解決したようで、応答率が非常によくなりました。。

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